遺族、韓国軍の「越北断定」に憤り 「国民を守れなかった軍の推定に過ぎず 行方不明前後の状況の真相を明らかにせよ」 当時の状況の公開がカギ 海洋警察、ノートパソコンを分析し、軍に資料を要請 「北朝鮮の交信内容傍受」は非公開が慣例
韓国軍は北朝鮮で殺害された海洋水産部所属の漁業指導員が越北を試みたものと推定されると発表したが、事件の真相をめぐり議論が続いている。特に、遺族は行方不明者を救える“ゴールデンタイム”を逃した軍当局が、事態の責任を免れるため、越北者と断定したと主張している。 北朝鮮側の銃撃で死亡した公務員の実兄、イ・レジン氏(55)は27日、ハンギョレとの電話インタビューで「弟が南側の海にいたその長い間、一体軍は何をしていたのか」とし、「国民を守ることができなかった軍当局が弟を越北者と推定している」と話した。イ氏は前日、最大野党「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長との面会でも、弟の無念を訴えたという。イ氏は弟が行方不明になっていた今月21日から22日にかけて、軍当局がどのような報告体系を通じて捜索活動を決めたのか、真相の公開を求めている。 イ氏側は特に、軍当局が越北の根拠として提示した情況を信頼できないと主張した。軍当局は、死亡した公務員が救命胴衣を着用しており、浮遊物を使って長時間海に浮かんでいた点、船にスリッパを残した点などを挙げ、越北と推定されると発表した。これに対しイ氏は「セウォル号事件以降、船内で救命胴衣を着ることが義務付けられた。船で生活してきた公務員が救命胴衣を着ていたことがどうして越北の証拠になるのか」とし、「借金が数千万ウォン(数百万円)程度で、未成年の2人の子どもを置いて、越北を選択したはずがない」と話した。 死亡した公務員A氏の同僚らも、普段A氏が北朝鮮について話したり、極端なことを試みるようなそぶりは見せなかったと、海洋警察に供述したという。A氏の失踪経緯などを調べている海洋警察は、漁業指導船にいたA氏のノートパソコンや所持品などを分析している。また海洋警察は国防部に越北と判断した根拠資料の提供も要請した。 結果的に、越北の試みをめぐる議論は、死亡した公務員が北朝鮮側に越北の意思を表明したという情況が公開されるまで続くものとみられる。軍当局は「死亡した公務員が北朝鮮側に発見された当時、越北の意思を表明した(ことを裏付ける)情報がある」とし、これを越北と推定した有力な根拠としてきた。問題は、その情報がかなり敏感な類のものであることだ。軍が確保した情報は北朝鮮海軍の交信内容を傍受したものと推定されるが、軍事・外交上の理由から傍受の事実を公式化することはタブー視される。犠牲者の実兄のイ氏は同日、「北朝鮮が送ってきた通知文によると、弟は越北者ではなく侵入者だと説明している。軍当局が責任を逃れるために亡くなった弟の名誉を傷つけているわけではないなら、突然家族を失った遺族が納得できるように行方不明の経緯を詳しく説明してほしい」と訴えた。 ノ・ヒョンウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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