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Monday, December 28, 2020

体質と食材 赤ワイン、牛乳、コーヒーは日本人に向かない? - auone.jp

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赤ワインに含まれるポリフェノールは健康に良いとされるが…(写真/GettyImages)

 朝起きて、豆腐とわかめのみそ汁を作りながら炊飯器のスイッチを押す。冷蔵庫から納豆を取り出し、食卓に置けばいつもの朝ご飯の完成だ──この長い間続く営みが実は、少なからず私たちの命を救ってきた。食べたもので体は作られる。いまこそ知りたい「食と体」の不思議。

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 日本人の体質に合わない食べ物の研究が進んでいる。例えば赤ワイン。フランス人が肉やバターなど高脂質食を好むのに、心臓疾患での死亡率が非常に低いという“矛盾”の理由を探ったところ、ポリフェノールたっぷりの赤ワインを愛飲しているからだと結論づけられたことから生まれた健康ブームだ。ところがそれは欧米人に限った話だった。

「日本人は遺伝的にアルコールを分解する能力が欧米人に比べて低く、それが誘因となるがんになる危険性が欧米人よりも高い。ポリフェノールのメリットよりもアルコールのデメリットの方が大きいことが明らかになっているのです」(医療ジャーナリスト)

 まさに海外のトレンドを猿真似すると痛い目に遭う好例だが、こうした「実は日本人の体質には合わない」という食品は枚挙に暇がない。神戸大学医学部客員教授の寺尾啓二さんが指摘する。

「学校給食に出されるほど“健康食品”としておなじみの牛乳も、実はその1つ。牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなったり下痢をしたりする人がいますが、これは乳製品に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素『ラクターゼ』の分泌量が少ないことによって起きます。歴史的に乳製品を摂ってこなかった日本人は、実に8割もの人が離乳期以降になるとラクターゼを分泌しなくなるのです」

 バターも同様だと寺尾さんが続ける。

「よく『マーガリンよりもバターがいい』などといわれますが、どちらも飽和脂肪酸やトランス脂肪酸といった悪玉脂肪酸を多く含むため、欧米人と比べて体温が低い日本人の血液は脂肪を溶かせずにドロドロになり、動脈硬化から心筋梗塞など循環器疾患につながりやすくなる。日本人の体にはいずれも合わないのです」

 米国ボストン在住の内科医・大西睦子さんも声をそろえる。

「ハーバード大学の研究では、食事を完全な『動物性食品』から完全な『植物性食品』に変えると、腸内細菌の構成が一日足らずで変化すると報告されています。

 つまり、普段から食物繊維や魚など質のよい油を含んだバランスのいい日本食を取り入れていても、牛乳やバター、マーガリンなどがたっぷり入った食事を摂ることで、すぐに体に負担がかかってしまう。西洋型の食生活は免疫システムに負担をかけるともいえるでしょう」

 このほか、健康にいいとされるオリーブオイルやコーヒーも「日本人の体に合わない」とする研究も少なくない。

「日本人はカフェインに弱く、カップ2杯程度のコーヒーを飲むと不安定な気持ちになる人が4分の1ほどいるとの報告があります。隣国に住む中国人では見られない現象であるため、日本人特有の体質だと考えるよりほかない」(前出の医療ジャーナリスト)

 秋葉原駅クリニックの医師・大和田潔さんが言い添える。

「飲みもので気をつけてほしいのは、清涼飲料水や缶コーヒーなど甘いものを一気に摂らないようにすること。甘さの正体であるブドウ糖が体内に入ってくるとすい臓がインスリンを出して血糖値を下げるのですが、日本人のすい臓は欧米人に比べてインスリンを一度に出せる量が少ない。

 そのせいで甘いジュースを一気に飲むと血糖値が急上昇し、糖尿病リスクを高める『グルコーススパイク』という状態になってしまう。同じ糖分量でも、一気に摂ると欧米人より血糖値が上がりやすく、日本人はより糖尿病になりやすいのです」

 飲料だけでなく、白米や小麦など精製された穀類も、一気に摂るとグルコーススパイクを招きやすい。これほどまでに国や民族ごとに、食材の合う、合わないがあるわけだ。

 そして、フランスで注目を集める日本の食材があるという。フランス在住のジャーナリスト・ヴェイサードゆうこさんが言う。

「いまフランスでリスペクトを集める“スーパーフード”とは、納豆のことです。フランスのテレビ番組では罰ゲームに使われるくらい、納豆のにおいとネバネバの見た目がどうしても受け入れられないという人が多かったのですが、それでもトライしてみようという人が出てきています。

 世界を見渡したとき、日本におけるコロナの感染者数や死者数は、蔓延を抑え込んでいるという評価です。それで、日本人の日常的な食習慣を参考にして感染を免れたいと考える人が増えているのです」

 注目されているのは納豆だけではない。ヴェイサードゆうこさんが続ける。

「フランスでは納豆に加え、わかめやひじきなど、日本食として食べられている食物繊維が豊富な海藻類も、コロナに対する免疫力を向上させるのではないかということで注目されています」

 とはいえ、残念ながらフランス人にとっての海藻は日本人にとっての赤ワインと同じかもしれない。というのも、こんな事情があるからだ。

「海藻を食べる文化を持つのは世界でも日本とアイスランドくらいで、食べて分解できる酵素を持つのは普段食べている人だけ。日常的に食べていれば、海藻を分解する酵素を持つ菌が腸内に増えます。海にいる海藻を分解する細菌の特徴が腸内細菌に受け継がれると考えられています。できれば、ひじきや岩のりなど、素材そのままのものを摂るといいでしょう」(大和田さん)

 アサクサノリに関する研究データでは、日本人の腸には海藻の食物繊維を分解できる特殊な細菌がいるとの結果も報告されている。そのうえ、海藻を分解したときに生成される「短鎖脂肪酸」は体脂肪をつきにくくする効果があり、日本人の長寿と関連するのではともいわれているのだ。

※女性セブン2021年1月7・14日号

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