2021/07/31 06:02 ウェザーニュース
“虫のプロ”アース製薬研究部に理由を訊ねると、「巣の外で働いているアリは全体のほんの少しだから」と驚きの答えが返ってきました。アリの意外な生態や効果的な対策法を教えていただきます。
「アリは巣を作って集団生活をしている社会性を持った昆虫です。よく見かける黒いアリでも、アミメアリやオオズアリなど様々な種がありますが、1つの巣に女王アリが1匹の種もあれば、1つの巣で多数の女王が仲良く暮らしている種もいます。
巣の中では女王アリが卵を次々と産み、そのほとんどが働きアリに成長します。巣の中の働きアリは、巣作り、幼虫の世話などを行い、巣の外にいる働きアリは巣の中にエサを運んでいます。人が目にする地上のアリは群のほんの一部でしかありません」(研究部・野村拓志さん)
エサを運んでいるアリの行列でも数えきれないぐらいですが、巣の中にはもっとたくさんのアリがいるというのです。
ただし、見えているアリを退治したとしても、アリは社会性のある昆虫なので他のアリが代わりに働きます。また、アリ同士はにおい(フェロモン)でコミュニケーションをとっており、エサを見つけたアリは“道しるべフェロモン”で仲間にエサの位置を知らせています。このため、退治しても次から次へとアリが発生しているように見えるのかもしれません」(野村さん)
「エアゾールタイプの駆除剤なら、直接スプレーすることですぐに退治できます。庭や畑などでは、天然成分を使用したスプレーや巣穴や周囲に散布できるシャワータイプがあります。家の中には、1プッシュでも効果の出る屋内用スプレーがおすすめです。サッシやドアの隙間などに使えば、待ちぶせ効果が1ヵ月程度持続します」(研究部・浅井一秀さん)
ただ、アリの発生を防ぐためには、前述したように巣ごと退治することが重要です。
「例えば、毒餌剤を置く方法があります。エサを巣に運ぶという働きアリの習性を利用して、女王アリや幼虫にも効果を発揮します。ちなみに、アリにはエサを持ち帰る雑食性のアリと、蜜を吸う吸蜜性のアリがいます。毒餌剤を置いても効果が弱いようなら、どちらのアリも誘引しやすいタイプに変えてみるとよいかもしれません」(浅井さん)
アリの習性や集団生活を知ることが正しいアリ対策につながります。アリが活発になる時期ですので、人間のテリトリーへの侵入には気をつけたいものです。
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