動物性食材と匂いの強い五くんを使用しない「グリーンバーガー<テリヤキ>」が22日から全国のモスバーガーで販売される。
撮影:小林優多郎
「これ、本当に動物性食材を使っていないの?」
モスフードサービスが9月22日から、一部店舗を除く全国のモスバーガーで販売する「グリーンバーガー<テリヤキ>」の試食に参加して、最初に感じたのはこの感覚だった。
筆者は、新しい食文化として、大豆ミートなどの植物性食材ベースの食べ物には注目している。実際、バーガーキングの「プラントベースワッパー」などもいち早く食べている。
しかし、今回は「テリヤキ」だ。より日本的な肉っぽさ、旨みを感じる題材の商品なだけに、その味や食感は非常に気になるところだ。
植物性のテリヤキソースの実力とは?
「すごい緑色のバーガー」という強い印象を与える見た目。
撮影:小林優多郎
グリーンバーガー<テリヤキ>は、まずその緑色のバンズ(具材を挟むパン)が目に付く。
このバンズは、モスバーガーが2020年3月に一部店舗で展開した第1弾の「グリーンバーガー」と同じもので、ほうれん草ピューレーが練り込んである。
バンズといえば黄・茶系のパンらしい色のイメージがあり、最初は少し違和感を感じるが、味やは至って普通。食感はややふんわりとしている。
ソースは別添え。「パキッテ」という容器に入っており、手が汚れない。モスバーガーでパキッテを採用するのは今回が初めて。
撮影:小林優多郎
さて、それではいただきます……とする前に、グリーンバーガー<テリヤキ>には、一般的なテリヤキバーガーにはない、「ひと手間」が用意されている。
それは付属の「グリーンテリマヨソース」をかけるという作業だ。グリーンバーガー<テリヤキ>の場合は、ソースが別添となっているので自分好みの量をかけることができる。
ちなみに、この容器の名前は「パキッテ」といって、キユーピーと三菱商事、三菱商事パッケージングの合弁事業会社のディスペンパックジャパンの登録商標だったりする。2019年3月にディスペンパックからパキッテに名称変更された。
自分好みの量のソースをかけられる。
撮影:小林優多郎
プラントベースをウリにしているバーガーなので、当然このソースも動物性食材不使用だ。テリヤキソースは甘みをてんさいを原料とした上白糖で実現。旨みを昆布のエキスで、マスタードやブラックペッパーをアクセントとしている。
テリヤキソースを引き立てるマヨネーズ……ではなく「マヨソース」は、卵は不使用。その代わり枝豆を使ってコクを出している。
実際に食べてみると……?
撮影:小林優多郎
食べてみた印象は冒頭に述べた通り。本当に「本物のテリヤキバーガー」じゃないのかと疑うくらい、似ている。
中のパティも大豆由来の植物性タンパクをベースに、椎茸のエキスやこんにゃく、キャベツなどで甘みや食感を調整しているという。
個人的には、一般的なテリヤキバーガーより好みの味だったほど。全体的にふんわりとした軽い食感だが、ソースの強い旨みと甘みが絶妙で、くどくなく非常に食欲をそそる。
グリーンバーガー<テリヤキ>とテリヤキバーガーのカロリーや脂質はあまり大きく変わらない。(緑と赤の強調は編集部によるもの)
出典:モスフードサービス
食べた後の満足感は、肉のバーガーとは少し異なりやや物足りないと感じるが、長引く在宅勤務で運動不足が続いている筆者にとってはちょうど良い(ただし、カロリー的にはグリーンバーガーテリヤキがソースを含め1食340kcal、通常のテリヤキバーガーが377kcalと、1割程度低いだけだ)。
テイクアウト時代を感じさせるのは、やはりパキッテのおかげでソースを「あとがけ」できるところだ。これは何気にうれしいポイント。量だけではなくソースをかけるタイミングも自分好みにできるので、「最後のひと口はちょっと濃いめに…」みたいなアレンジもできる。
モスバーガーが向き合う「SDGsへのアクション」
モスバーガーは食の多様性について取り組んできた。
撮影:小林優多郎
商品のデキもさることながら、モスフードサービスの「グリーンバーガー」にかける熱意もかなり印象的だった。
今回のグリーンバーガー<テリヤキ>は、第1弾のグリーンバーガーとは異なり、原則全国展開の商品となる。目標販売数は、販売から2カ月間で30〜50万食、年間では150万食程度を目指す。
この数字は平均すると1店舗あたり多くても1日6〜7食分しか出ていない計算になり、一見すると弱気の姿勢にも見える。
しかし、第1弾は期間・店舗限定商品だっただけあり、販売数は1年強の間に75〜80万食。全国展開し、2倍弱の売り上げを目指すということだ。
グリーンバーガー<テリヤキ>の発表会に登壇したモスフードサービスの上席執行役員 マーケティング本部長の安藤芳徳氏(写真右)、マーケティング本部 商品開発部長の濱崎真一郎氏(左)、同商品のTV CMに出演したタレント・モデルの近藤千尋さん(中央)。
撮影:小林優多郎
なぜ、「そこまで売れない」商品を今あえて強化・展開するのか。SDGsや食の多様性といった市場のニーズもあるが、意外にもモスバーガーという「ブランド」がかかわっているという。
「他社もテリヤキソース(の商品)を出しており、差別化が難しくなってきているが、私どもは元祖。バリエーションもいち早くやりたい」(安藤氏)
つまり、テリヤキをつくった元祖の自負があるからこそ、新しいプラントベースのハンバーガーでも、他社に先駆けてテリヤキを、というわけだ。
モスフードサービスの上席執行役員 マーケティング本部長の安藤芳徳氏は、先行した第1弾を振り返り「関心度に地域差がある。外国人の方が多い地域や都心の方が高い。中にはプラントを“植物”ではなく“工場”と思ってしまう方もいた」としつつ、「大きくグランドメニューでも扱ってようやく認知度が上がってきた」タイミングで、この新商品を導入したと語る。
グリーンバーガー<テリヤキ>は、コロナ禍と食の多様性を両立した商品であるとするモスフードサービス。
撮影:小林優多郎
安藤氏はグリーンバーガー<テリヤキ>の発表会でリクルートの「軽食の新トレンドに関するレポート(2021年4〜5月調査)」を引用し、「50%の人は、新型コロナ前後で食事の量・回数が変わっている」「約16%の人が、3食のうち1回は軽食にしている」と分析。
コロナ禍での食生活の変化にも対応した商品でもある、とした。
(文、撮影・小林優多郎)
持続可能性とビジネスの両立に取り組む企業を表彰するイベント「Beyond Sustainability」を10月4日〜8日、オンラインにて開催します。 「Beyond Sustainability2021」について、詳しくはこちらから。
からの記事と詳細 ( 本日発売、モスバーガーの大豆ミート「グリーンバーガー<テリヤキ>」を実食。商品開発のコダワリを見た - Business Insider Japan )
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