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Saturday, May 27, 2023

バーガー店の3倍で命懸ける? 「高給」強調し、志願兵を大募集―ロシア:時事ドットコム - 時事通信ニュース

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 ロシアのプーチン政権が「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナとの戦争が長期化する中、首都モスクワで2023年4月に静かな異変が起きた。旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日(5月9日)の準備が始まり、若者が電動キックボードを乗り回す中、大半の飲食店の入り口付近に「志願兵募集」のポスターが一斉に貼られたのだ。(時事通信社モスクワ支局 平岩貴比古)

戦地へ派遣が前提

 「われわれの職業は祖国防衛」―。こう訴えるポスターには、自動小銃やドローン、救急キットを持った兵士3人が描かれる。屋外の広告は従来も散見されたが、ここに来て「戦時体制」が隅々まで可視化されてきた。

 地下鉄駅前や大型商業施設では、給与水準を強調するリーフレットの配布も始まった。手に取ってページを開くと、手当の事細かな金額と共に、生々しい軍務の一端が記されている。まず目に飛び込むのは「契約サイン(入隊)時の一時金」19万5000ルーブル(約34万2000円)という金額だ。

 読み進めると、ウクライナでの特別軍事作戦(SVO)にほぼ特化した志願兵の募集と分かる。入隊した場合、戦地を意味する「SVOゾーン」派遣に向けた訓練期間中、基本給に物価調整の「モスクワ勤務手当」を加算した月9万~10万ルーブル(約15万8000~17万6000円)が支給。SVOゾーンに派遣されると、月給は20万4000ルーブル(約35万8000円)以上に跳ね上がる。

「成功報酬」細かく

 ちなみに、米ハンバーガーチェーン「マクドナルド」の後継店「フクースナ・イ・トーチカ」の給与水準は、月168時間の労働に賞与を含めて6万3000ルーブル(約11万円)で、戦地の月給はその3倍に上る。ただ、ロシアは貧富の差や地域格差が激しく、命懸けの仕事に見合う「高給」かどうかは評価が分かれるだろう。

 リーフレットには、特別軍事作戦の「成功報酬」も記されている。SVOゾーンで攻勢時は8000ルーブル(約1万4000円)の日当を支給。突撃部隊に加わって1キロ前進するごとに5万ルーブル(約8万8000円)が加算され、ウクライナ軍の兵器を奪取または破壊した際はさらに5万ルーブル以上を支給するとうたっている。

 東部ドネツク州バフムトの激戦で知られたように、ロシアは民間軍事会社ワグネルが突撃部隊を編成した。ところが「捨て身」の作戦で多大な戦死傷者を出したとされる。プーチン政権が目指すドンバス地方の制圧に、兵員の補充が必須であることは明らかだ。

18歳から可

 22年9月に出された予備役30万人の部分動員令では、徴兵忌避が相次いで国内が混乱した。プーチン政権は、北欧2カ国が北大西洋条約機構(NATO)に加盟することをにらみ、ロシア軍の総兵力を23年初めの115万人から150万人に増強する方針で、志願兵募集のキャンペーンはこの流れで始まった。

 現行の制度で18~27歳を対象とする兵役義務(1年)はあるが、原則として戦地へは送れない。来年の大統領選前に部分動員令の「第2弾」を出すのも政治的リスクが大きい。そのため、政権としてまずは、前線で戦える志願兵の「掘り起こし」を図っているとみられる。

 兵役経験がなくても18歳ですぐ志願できるよう、上下両院は4月に改正法案を可決した。モスクワで募集が強化されたのはちょうどこの頃だ。

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