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Tuesday, July 4, 2023

エチオピアの生肉ビーフタルタルほかアフリカとオセアニアの ... - ナショナル ジオグラフィック日本版

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コラードの葉とチーズを添えた、典型的なキトフォのプレート。(Photograph by Sergii Koval/Alamy)

コラードの葉とチーズを添えた、典型的なキトフォのプレート。(Photograph by Sergii Koval/Alamy)

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エチオピアの生肉ビーフタルタル──キトフォ(エチオピア)

 エチオピアのキトフォ専門店に行くと、メニューには文字どおりキトフォしかないことがよくある。キトフォは、牛肉の細かいミンチに「キッベ」という濃厚なハーブバターと「ミツミッタ」という粉末チリミックスを混ぜた料理だ。

 たいていは牧草だけで育った牛を使うため、ハーブの香りと肉のうまみが最大限に引き出される。なめらかで柔らかな食感のため、ほとんどそしゃくの必要がない。しっとり輝く牛ミンチに添えられるのは、通称「ゴメン」と呼ばれるコラードの葉、アイブというエチオピア産のチーズ、それにインジェラという酸味のあるスポンジのようなパンだ。パンは配膳用の容器も兼ねる。

 キトフォを食べるときは、いくつかリスクが伴う。その1つが、一緒に寄生虫を食べてしまうことだ。これを避けるため昔から肉屋は、虫がいないという牛の両肩の間の肉を使うようにしている。エチオピアでは、生の肉は特別な食べ物とされ、祝祭のごちそうにふるまわれることが多い。ずばり「生肉」を意味するテレスガという料理は、その名のとおり加熱していない厚切り肉(普通は牛肉)を小さくカットして、ミツミッタに浸したものだ。

 子どもたちは、5歳か6歳になると生肉を食べることを許される。その年頃になれば十分な抵抗力がついて、食べ物を媒介とする病気にかからないといわれているからだ。しかし、年齢にかかわらず生肉を食べることに抵抗を感じる人もいるため、キトフォにほんのわずか火を通したレブレブという料理も作られるようになった。

●体験するには
アディスアベバ市内にあるヨハンネス・キトフォは、この料理で有名なレストランだ。ひと皿約800円で、2人前か3人前の分量だという。

具だくさんなクレープボート──ザンジバル・ピザ(タンザニア)

ストーンタウンのフォロダニ・ガーデンでザンジバル・ピザを焼く料理人。(Photograph by Charles O. Cecil/Alamy)

ストーンタウンのフォロダニ・ガーデンでザンジバル・ピザを焼く料理人。(Photograph by Charles O. Cecil/Alamy)

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 ピザ純粋主義者には邪道と非難されるだろうが、タンザニアのウングージャ島とペンバ島で作られるザンジバル・ピザは、誇りを持って、ピザという概念を緩く解釈した料理だ。

 クレープと風味の良いパンケーキを合体させたような、揚げたてのおいしい生地に多種多様な具を包むその組み合わせは自由自在だ。アボカドとイカとトマト、ロブスターとチーズ、野菜と卵とマヨネーズ、さらにはスニッカーズ(チョコレートバー)とバナナとヌテラ(甘いスプレッド)まで、ザンジバル・ピザのレシピに不可能はない。

 ピザ職人はボウル1杯分の生地を平らにして、具を包んだとき破れないよう2枚重ねにする。その上に、肉、甘いもの、スパイス、野菜など客が望むすべての具をのせる。それから四方を折って包み、熱々のタバ(大きく浅いフライパン)でバターを使い揚げ焼きする。具に熱が通り、生地がカリッと焼けたら完成だ。出来上がったピザは紙皿に移され、新鮮でスパイシーなマンゴーチリソースがたっぷりかけられる。

 ウングージャ島とペンバ島にザンジバル・ピザ屋は少なくとも30軒ある。軽い夜食として人気のザンジバル・ピザが誕生したのは、30年近く前のことだ。ハジ・ハミシという料理人がケニアのモンバサに旅をして、その地で有名なエッグチャパティ(フライパンで作るミートオムレツ)に感銘を受けたのがきっかけだったという。

 ザンジバル・ピザは、ナイロビのムカテヤマヤイ(肉詰めパン)や、サウジアラビア、イラク、イエメン、インドなどで作られるムタッバク(具入りのパンケーキ)にも似ている。なかでもザンジバル・ピザが格別なのは、地元産のソースと調和した料理スタイル、そして、具の組み合わせがとことん自由なところだろう。

●体験するには
価格には幅があり、ベーシックなベジタリアンピザが4000タンザニア・シリング(約230円)、ミックスシーフードピザが1万5000シリング(約850円)。フォロダニ・ナイトマーケットに行けば、ほぼ間違いなく見つかる。

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