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Thursday, July 11, 2024

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ダイエットに「ゼロカロリー」人工甘味料、効果ある?現時点の〝医学的な判断〟「発がん性」など健康リスク

「ゼロカロリー」にはダイエットに効果的なイメージがあるが……。※画像はイメージ=Getty Images

(withnews)

夏本番を迎える時期、ダイエットをして自分の理想の体型に近づけたいと思う人もいるのではないでしょうか。しかし、世の中にはダイエットについて、効果がないばかりか、逆効果になる情報もあふれています。その一つ、人工甘味料の使用については、実は一般的なイメージとは異なる、医学的な現時点での判断が出ているのです。気になる「発がん性」などについてわかっていることとあわせて紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)

研究ごとに真逆の結果に

医療現場で参照される、日本肥満学会が発行する『肥満症診療ガイドライン2022』には、<体重減少のためには、食事摂取エネルギーの減量が必要である。><運動療法は減量(体重減少)にはあまり効果的ではない。>と明記されています。

では、“食事摂取エネルギーの減量”のために、人工甘味料を使用した「ゼロカロリー」「低カロリー」の飲食物を摂取することは、ダイエットに効果があるのでしょうか。

結論から言うと、同ガイドラインでは<積極的な人工甘味料の摂取は推奨されない。>とされています。その理由は、医学研究のやり方によって、効果のあり/なしが変わってしまうからです。

日本で認可されている人工甘味料には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、スクラロース、ネオテームがあります。

こうした人工甘味料は、体内で消化・吸収されないため「ゼロカロリー」だったり、少量でも甘みが強いので「低カロリー」になったりするため、食事摂取エネルギーを減らすことが可能です。

例えば、肥満女性163人を対象として、砂糖の100〜200倍の甘さであるアスパルテームを使った甘い食べ物や飲み物を摂取した群と、摂取しなかった群に分けて体重の減量の効果を検討した研究があります。

この研究では、アスパルテームあり群でもなし群でも19週間後に約10%が減量に成功しました。このうち、あり群ではアスパルテーム摂取量が多いほど、減量率が高い傾向にありました。また、1、2年後のリバウンド率では、アスパルテーム群の方が低くなりました。

このような介入研究(原因だと考えられる要素を人為的に操作し、結果の発生率を調べる)を複数まとめてさらに研究したところ、人工甘味料の使用による減量効果が示され、食事制限をしていない肥満者で効果が高いという見解でした。

一方で、介入のない(成り行きに任せた)観察研究を、複数まとめてさらに研究したところ、人工甘味料を含んだ飲料250mlを飲むと肥満リスクが21%上がりました。

別の同様の研究では、通常の清涼飲料水を飲んでいる人の肥満リスクが19%上がったのに対して、人工甘味料を含んだ清涼飲料水では肥満リスクが59%上がりました。

さらに別の同様の研究では、人工甘味料を習慣的に摂取する人で体重増加や腹囲長の増大リスクが高く、肥満、高血圧、2型糖尿病、心血管障害のリスクも高い結果になりました。

研究の方法により、真逆の結果になってしまう人工甘味料。同ガイドラインとしては<積極的に人工甘味料の摂取を推奨すべき十分なエビデンスはない>と判断したということです。

健康へのリスクの現在地

昨年は人工甘味料に関する国際的な医学の発表が続きました。その中には「発がん性」といった気になる言葉も含まれており、記憶にある人もいるのではないでしょうか。

まず5月、WHOがガイドラインを発表、内容は「砂糖代替の甘味料(NSS)に体重減少効果はなく、むしろ病気のリスクを高める」というものでした。

NSSとは、砂糖の代わりに用いられる糖質でない甘味料を指し、一般的にはアセスルファムK、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、ステビア、ステビア誘導体などが含まれます。人工甘味料だけではなく、自然の代替甘味料も含まれることには注意が必要です。

WHOは「NSSを摂取しても成人および小児の体脂肪を減らすうえでは長期的な利益をもたらさない」「長期使用により成人の2型糖尿病や心血管疾患、死亡のリスク増加など、望ましくない影響がある可能性が示唆されている」としています。

ただし、そのメカニズムまでは説明されていません。NSSの普及自体が比較的、最近のことで、長期的な健康への影響には、わかっていないことが多くあります。

そして7月、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)が、アスパルテームのヒトに対する発がん性のデータを発表しました。

IARCは、アスパルテームのヒトに対する発がん性を「グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)」に分類、世界的なニュースになりました。

ただし、このデータを踏まえて同時にFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が発表した、実際に摂取した際の健康への影響についての評価によれば、「前回(1981年)評価時に設定した許容1日摂取量(ADI)=40 mg/kg体重/日を変更する理由はない」としています。

つまり、IARCが示したのはあくまで「発がん性がある可能性」であり、それを含めて、JECFAは通常の食生活で「アスパルテームの摂取によって健康への悪影響がある懸念はない」としています。

このように、体重の減量への効果の有無とは別に、病気のリスクや発がん性といったさまざまな論点があり、かつ使用されてきた歴史が長いわけではないため、確たる結論を出すにはまだ時間がかかりそうな人工甘味料。

とはいえ、総合的にみて、ダイエット目的なら非推奨というのが、現時点での医学的な判断になります。生活に取り入れる場合は、こうした状況も踏まえながら、ほどほどに、という姿勢が望ましいと言えるでしょう。

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