【台北=伊原健作】2020年1月の台湾の総統選を巡り、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)前董事長は15日、最大野党・国民党の予備選で高雄市長の韓国瑜氏に敗れたことを受け、「韓氏の勝利を祝福する」との声明を出した。郭氏は敗北すれば離党して無所属から出馬するとの観測が出ていたが、今後の出方は明示しなかった。
比較的若い世代に人気がある郭氏は、予備選の世論調査を携帯電話を使わずに固定電話だけで実施した党の運営を批判していた。ただ韓氏の勝利に祝意を表したことで、ひとまず結果を受け入れる姿勢を示した格好だ。
声明では「(予備選の)90日の間、愛する土地(台湾)に何ができるか考えてきた」とも述べたが、今後については一切言及せず、無所属での出馬など今後の出方を巡る臆測は消えそうにない。
もっとも、今回の予備選の世論調査では郭氏は韓氏に約17ポイントの大差を付けられた。郭氏が離党して出馬すれば国民党陣営が分裂し、来年1月の総統選本選で台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)から再選を目指す蔡英文総統に有利になる可能性がある。
対中融和路線の国民党の勝利を望む中国側から出馬しないよう圧力がかかるとの見方もあり、「郭氏の出馬は現状ではハードルが高い」(国民党の立法委員=国会議員)との指摘もある。
郭氏は総統選予備選への出馬に伴い6月末で鴻海の経営トップを退き、「二度と戻らない」と断言した。ただ選挙戦から撤退すれば再び経営への影響力を強めるとの見方もあった。予備選の結果を受け、鴻海の株価は15日に前営業日比0.6%高と小幅に上昇した。
2019-07-15 07:58:00Z
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47362810V10C19A7MM0000/
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