【シンガポール=森浩】アフガニスタン東部ナンガルハル州ジャララバードで4日午前、現地で農業支援などの活動を行っていた日本人医師、中村哲さん(73)が乗った車が武装勢力に銃撃された。州政府報道官によると、中村さんは銃弾を受けて地元病院に運ばれたが、その後死亡が確認された。
地元警察によると、車に同乗していたボディーガードと運転手のアフガン人5人も銃撃で死亡した。犯人は現場から逃走しており、警察当局が行方を追っている。犯行声明は出ていないが、イスラム原理主義勢力タリバンは関与を否定する声明を発表した。
中村さんは同日朝に宿舎を出発して、25キロほど離れた用水施設の工事現場に向かうため、ジャララバード市内を車で移動中だった。フロントガラスには、少なくとも3発の銃弾の痕が残っているのが確認されている。現地警察当局は無差別的なテロではなく、中村さんを標的にした犯行との見方を強めている。
中村さんは右胸に銃弾を受けたが、地元病院に搬送された当初は意識があった。その後、首都カブールで治療を受けるため、カブール北方のバグラム米空軍基地に搬送される途中に死亡したという。
中村さんは農業支援などに取り組む非政府組織「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表で、貧困層への医療支援や灌漑(かんがい)事業の指導などを行ってきた。2018年にはアフガン政府から勲章を、今年10月には外国人として初めての同国の名誉市民権を授与されていた。
アフガン政府報道官は同日、「アフガンの最大の友人への凶悪な攻撃を強く非難する。アフガン人の生活を変えるために彼は人生を捧げてきた」とする談話を発表した。
アフガンでは08年、同じくペシャワール会所属の日本人、伊藤和也さんがジャララバード近郊で武装グループに拉致され、その後、遺体で発見された。
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2019-12-04 11:30:29Z
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