第159回直木賞を受賞した島本理生の小説「ファーストラヴ」を原作とした映画が、2月11日(木・祝)より公開される。堤幸彦監督がメガホンをとり、女子大生が父親を殺害した事件を取材する公認心理師の真壁由紀を北川景子、弁護士の庵野迦葉を中村倫也が演じている。本作で初共演となった北川と中村に、「実は同い年」だというお互いや共演者について思うこと、撮影を通して感じたことなどを語ってもらった。
率先して“やりやすい環境”を作った北川景子、“信頼”できる芝居で現場を引っ張った中村倫也
――お二人は本作が初共演とのことですが、ご一緒してみていかがでしたか?
【北川景子】 これまで共演してきた俳優さんの中で、一番気を使わなかった方かもしれません(笑)。
【中村倫也】 それはシンプルにうれしいですね(笑)。
【北川景子】 ご一緒することが決まってすぐに、倫也くんのことを調べたんですね。そしたら同い年だったので、必要以上に気を使わず、自然体でいてもいいのかなと思って。いつも初対面の人と会うときは緊張しますし、いきなり素を見せられるタイプではないので、「明るい雰囲気の場を作らなきゃ!」とか、「どうも、北川景子です」みたいな感じに気合いを入れて行くことが多いんですけど…。
【中村倫也】「北川ですよ」「ソイラテをちょうだい」みたいな感じでいくんでしょ?
【北川景子】 え!どんなイメージなの?(笑)。でも、本当に倫也くんに対しては普通の自然体でいられたので、すごくビックリしました。舞台にもたくさん出られていて、百戦錬磨の俳優さんというイメージがあったので、会う前から勝手に信頼していたんだと思います。「助けてもらおう」みたいな気持ちもちょっとあったのかも(笑)。
【中村倫也】 そこまで信頼してもらえる俳優ってほかにいます? めちゃくちゃうれしいですね。
――会う前から信頼できるというのはすごいことですよね。
【北川景子】 そうですね。倫也くんはお芝居を自然に作っていかれる方で、現場で2人の間で「こういう風にやりましょう」といった相談をすることもなかったですし、自分の解釈だけでは不足していたところを補うように、お芝居で引っ張っていってくださいました。そんな倫也くんとの撮影を楽しんでいる自分がいましたし、一緒にお芝居していると私まで上手く見えるんじゃないかなと思ったり(笑)。
【中村倫也】 あはははは!そこまで言っていただけて光栄ですね。
【北川景子】 由紀という役は、迦葉に対して感情をむき出しにする場面も多かったのですが、思いっきりぶつかれるような空気を作ってくれてありがたかったです。そして、そのあと「すみません」と謝らなくて良かったのも楽でした(笑)。
【中村倫也】 持ち前の包容力で受け止めてみました(笑)。僕はお芝居は相手のためにするものだと思っているので、楽だと感じてもらえたなら良かったです。そんな北川さんご自身も本当に素晴らしい女優さんで、例えば、劇中に由紀と迦葉が学生時代にホテルに行くシーンが登場しますが、大抵の現場は男性が多いので、そういうシーンの撮影時は女優さんに対してめちゃくちゃ気を使うんです。
ところが北川さんは「気を使わなくていいですよ」と率先して言動で表してくれて、常に周りがやりやすい環境を作ろうとしてくださっていました。なかなかそういうことができる方は少ないので素敵な方だなと。
【北川景子】 あのシーンはクランクインしてからまだ日が浅い時期に撮ったのですが、迦葉と由紀も出会って間もない頃にホテルに行ったんじゃないかなと思って、ちょっとした恥じらいや緊張感みたいなものを大切にしながら演じていましたね。
【中村倫也】 その恥じらいがとても良い塩梅で出ていて、すごく良かったです。
同世代の誰もが憧れる、窪塚洋介の“カリスマ的存在感”
――環菜を演じた芳根京子さん、そして由紀の夫で迦葉の兄・我聞を演じられた窪塚洋介さんとの撮影はいかがでしたか。
【中村倫也】芳根さんとは初共演でしたが、めちゃくちゃ難しい役を高い集中力で演じられていたのが印象的でした。僕はすぐに飽きてしまうので、若いのにすごいなと(笑)。特に最後のシーンの撮影は長丁場だったのですが、集中力を切らすことなくずっと迫真のお芝居をされていて。本当に素晴らしかったです。
【北川景子】 私は、芳根さんとは今回が2回目の共演でした。1回目の時は彼女がデビューしてまだ2年くらいで、初々しかったのを覚えています。最初に共演した頃から芳根さんの印象は変わっていなくて、一生懸命お芝居と向き合い、本番ではエネルギーを瞬時に出すことのできる方なんですよね。
今回は女優さんとしての深みが更に増しているように感じました。ただ、カットがかかった途端にチャーミングな表情を見せてくれて、そのギャップがまた素敵なんです。その姿に「女優さんだなぁ」としみじみ思いました。そして、夫を演じた窪塚さんですが、私の世代からしたらカリスマ的存在で。
【中村倫也】 僕らの世代はみんな窪塚さんに影響を受けていますよね。ひとつのカルチャーのアイコンでもあるというか。
【北川景子】 ほんとにそうで、誰かのことを“神”と呼ぶのはあまり好きではありませんが、当時はみんな窪塚さんのことを“神”のように崇めていました。私自身もあの存在感に憧れていましたし、周りの男性はファッションや髪型を真似していました。そういう方と今回初めてご一緒するということで、お会いする前はすごく緊張していたんですけど、窪塚さんは自然体でいらして、とても気さくに接してくださいました。
【中村倫也】 僕も役者を始める前から窪塚さんの出演作を観て影響を受けていましたし、今回、弟役を演じさせてもらえてすごくうれしかったです。
【北川景子】 ちょっとミーハーな気持ちになっちゃうよね。自分がデビューする前の憧れていた頃を思い出して、現場でも「あ、窪塚さんが目の前にいる!」とつい興奮しちゃったり(笑)。
【中村倫也】 わかる!それぐらい大きな存在ってことだよね。だけど僕は今回一緒のシーンが少なくて、それがちょっと残念でした。
――もし、中村さんが今後また窪塚さんと共演できるとしたらどういった役柄を希望されますか?
【中村倫也】 助手…。
【北川景子】 なんの助手?
【中村倫也】 わからないけど、窪塚さんの周りを衛星のようにウロチョロする助手を演じたいです(笑)。
「なんで泣いているんだろう?」と自分でも不思議だった
――本作は、幼い頃の傷を抱えたまま大人になったすべての女性に優しく寄り添ってくれるような作品だと感じました。お二人にとって由紀と迦葉は難役でもあったと思いますが、だからこそチャレンジできたことや発見できたことがあれば教えていただけますか。
【北川景子】 客観的に見ると難しい役に思えますが、演じていた私自身としては、堤幸彦監督の指示が的確だったこともあって、苦しんだり悩んだりということは全くなく、すごく楽しくて毎日が刺激的な現場でした。それなのに、なぜかクランクアップのときに号泣してしまって…。自分の涙を通して初めて、撮影中は楽しくてお芝居に夢中だったけど、実は結構大変だったのかなと気付いたというか。
【中村倫也】 たしか、「いつもは泣かないんですけど」って言ってたよね。
【北川景子】 自分でも、「なんで泣いているんだろう?」と不思議でした。
――それまで抑えていた感情が一気にあふれ出てしまったのかもしれないですね。
【北川景子】 たぶんそうだと思います。法廷シーンの撮影が最後だったので、由紀としてずっと背負ってきたものからやっと解放された感じがしたのかもしれません。
【中村倫也】 あの解放感はエグかった。実は僕も撮影期間中はずっと内臓を握られているような感覚だったんです。現場ではヘラヘラしつつも、迦葉はずっと僕の中にいるみたいな。単純に迦葉を演じるのが難しかったというのもありますけど、なんか、あいつずっといたんですよ。家賃払えって話なんですけど(笑)。
【北川景子】 家賃って(笑)。
【中村倫也】 だから僕もクランクアップしたときの解放感はすごかったですし、今回ほど役と共に生きた経験があまりなかったので面白かったです。これまでいろいろな役を演じてきましたが、新しいチャレンジをさせていただけたなと思っています。
【北川景子】 私にとっても由紀は非常にチャレンジングな役でした。ぜひ劇場でご覧いただけたらうれしいです。
取材・文=奥村百恵
◆北川景子
スタイリスト=多木成美、ヘアメイク=板倉タクマ
◆中村倫也
スタイリスト=戸倉祥仁(holy.) 、ヘアメイク=松田陵(Y’s C)
※北川トップス、ボトムス(すべてADEAM/ADEAM 東京ミッドタウン)、ピアス、リング(すべてマリハ/マリハ)
※中村Tシャツ(ウィザード/ティーニー ランチ)、ロングシャツ(チルドレン オブ ザ ディスコーダンス/スタジオ ファブワーク)、パンツ(ヨシオクボ/レボリューション PR)、シューズ(ピーイーオーティーダブリュウエージー/スタジオ ファブワーク)
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