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Monday, May 24, 2021

願掛け - 佐賀新聞

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 三代将軍徳川家光の乳母だった春日局は「薬断ち」をしていたと伝わる。家光が幼い頃、病気になった際に回復を願って薬断ちを誓い、生涯を通して服用しなかったという。好きな食べ物や嗜好(しこう)品などを断てば、願掛けの効果が上がるとされていた◆現代でも大事なことに臨むとき、酒やたばこ、お茶や甘い物など何かを断って願う人はいる。それで成就するわけではないと思っていても、集中するため、やる気を持続させるために我慢する◆新型コロナの感染拡大で、佐賀県内の飲食店は営業時間短縮を続けている。禁酒ではないにしろ、酒好きにはなじみの店から遠ざかる寂しい「酒断ち」だろう。ただ、これは密集、接触を避けて感染を防ぐという科学的な対処であり、効果は出ると信じたい◆飲食店はさらに苦しい。都市部などでは要請に従う店と従わない店の対立もあるようで、互いに非難し合う様子がテレビで流れていた。何ともやるせない。酒断ち、会食断ち、会話断ち…。何かと制約の多い日常はコロナ収束への願掛けをしている気分になる◆そんな中、「緊急事態宣言といっても、欧米から見れば『屁みたいな』ものではないのかな」と投稿していた内閣官房参与が辞職した。感染状況を「さざ波」と表現して批判を受けたばかり。今回も世間の我慢が少しも見えていなかった。(知)

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