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Friday, August 19, 2022

普段の食事で更年期の症状を和らげるには? - Women’s Health Japan

simpangsiuur.blogspot.com

更年期に入る前から、更年期の栄養管理について調べようとする人は少ない。でも、それが意外と重要だったりする。イギリス版ウィメンズヘルスから、更年期の食生活で意識するべきポイントについて見ていこう。

閉経や更年期が当分先のことだとしても、食生活は早めに変えたほうがいい。「更年期の症状が本格化する前に準備してほしいですね」と話すのは、公認管理栄養士で『The Perimenopause Solution: Take Control of Your Hormones Before They Take Control of You』共著者のエマ・バードウェル。「備えあれば憂いなしです」

閉経は平均51歳で訪れる。その前後の4~7年は更年期。この時期には気分のむら、睡眠障害、関節痛などが現れるけれど、どの症状も実は食事で軽減可能。いまのうちにマインドフルかつヘルシーな食べ方を学んでおけば、あとで深刻な症状に悩まされることもない。

更年期の栄養管理 3つのポイント

何事も、要点を押さえれば半分勝ったようなもの。バードウェルによると、更年期で大事なのはタンパク質、血糖値、食物繊維、カルシウム。「40歳以上の女性は、心臓、脳、骨の健康を考えながら食べる必要があります」

1.心臓の健康

脂の多い魚、オリーブオイル、アボカド、ナッツ、シードから心臓によい不飽和脂肪酸を摂取して。食物繊維も重点的に。英国栄養士会によると、イギリスの成人は推奨量(1日30g)の60%しか摂っていない。食物繊維の摂取量を増やせば体重が管理しやすくなって(更年期では特に大事なこと)、腸内フローラの多様性が増す(いろいろな種類の菌が元気に生きる)。「食物繊維はコレステロール値を管理する上でも重要なので、食生活に野菜、全粒穀物、豆類(レンズ豆やヒヨコ豆)、フルーツを取り入れましょう」とバードウェル。

2.骨の健康

カルシウムは骨の健康に欠かせないし、年を取ったらますます重要になる。「50歳以降は骨量が毎年1%ずつ減るため、それまでに骨を増やして強くするしかありません」とバードウェル。そのために必要なのがビタミンDとカルシウム。バードウェルいわく50歳までは1日700mg、50歳を過ぎたら約2倍=1日1,200mgのカルシウムを摂取するべき。乳製品、イワシ、ケール、ブロッコリー、ドライいちじく、豆腐、カルシウムが強化されたプラントベースのミルクは優秀な供給源。

3.脳の健康

バードウェルによると、脳が正常に機能して、幸福感をもたらす神経伝達物質(ドーパミンやセロトニン)を分泌するには、食べ物に含まれるカロリーと栄養が必要。オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)もキープレイヤー。閉経学術誌『Menopause』掲載の論文によると、オメガ3脂肪酸は更年期の気分の落ち込みを緩和する。週に2回は脂の多い魚を食べて。

オメガ3をサプリメントで補うなら魚油がベスト。でも、魚が苦手な人や、ベジタリアンやヴィーガンの人は、藻ベースのサプリメントを選ぶといい。「オメガ3はナッツとシードにも含まれていますが、このオメガ3は不活性のALA。ALAは体内でDHAとEPAに変換されなければならないので、効率的とは言えません」とバードウェル。

 

更年期にはタンパク質が大事な理由

grilled chicken salad with avocado

Arx0ntGetty Images

パブリックヘルスの学術誌『Iranian Journal of Public Health』に掲載された2021年の研究結果は、閉経周辺期に入りたての女性に比べて、閉経直前の女性は筋量が9%、閉経後の女性は筋量が10%少なかったことを示している。これは加齢に伴って筋量が減り、筋力が低下するサルコペニアという現象のせい。だから更年期にはタンパク質が欠かせない。

「更年期にタンパク質が不足すると、筋量が急速に減ってしまいます。そうすると筋力が低下しますし、貯蓄に回せるグルコースの量も減るため、貯蓄しきれなかった糖質と糖類が脂肪として体に残りやすくなります」と説明するのは、公認管理栄養士のレイチェル・クラークソン。「食事では毎回必ず良質なタンパク質を摂取しましょう」。事実、エイジング栄養学専門誌『The Journal of Nutrition, Health & Aging』掲載の論文によると、高齢者がタンパク質の摂取量を20%増やせば、そのぶん筋量が守られてフレイルのリスクが32%低下する。

「活力の産生、睡眠、気分の調節にもタンパク質が必要です」とバードウェル。「タンパク質には、極端な食欲を抑え、満腹感を持続させ、血糖値を安定させる働きもあります。要するにタンパク質は、更年期の症状を広くカバーしてくれるということです」。

バードウェルによると、更年期の女性は体重1kgあたり1g(超アクティブな人は1.2~2g)のタンパク質を日常的に摂取するべき。「体重が70kgの女性であれば1日70~100g。体が一度に分解できるタンパク質の量は限られているので、何回かに分けて摂りましょう」。食事のたびに手のひらサイズのタンパク源(鶏むね肉、サバの切り身、レンズ豆、卵、豆腐など)が摂取できれば理想的。

更年期にもっとも適した食生活

補完療法専門誌『Complementary Therapies in Medicine』掲載の論文によれば、クルクミン(ターメリックの成分)とビタミンEを摂取すると、ホットフラッシュが大幅に軽減する。でも、一番よいのは抗炎症性の食生活を送ること。「閉経前の体内で分泌されるエストロゲンとプロゲステロンには、女性の健康を守る働きがあります」とクラークソン。「でも、閉経すると、この2つのホルモンが激減するため、病気のリスクが高くなります。抗炎症作用がもっとも強いのはオメガ3。ビタミンC、E、A、カロテノイドにも抗炎症作用があります」

更年期は体にとって大きなストレス。そのストレスは炎症を引き起こし、慢性的な炎症は関節炎、アルツハイマー病、心疾患の要因となる。その影響を最小限にとどめる上で一番よいのは、野菜、フルーツ、豆類、穀物、オリーブオイル、ナッツ、シード、ハーブ、スパイス、魚介類を重点的に、乳製品と肉を控えめに摂取する地中海式の食生活。「厳格なダイエットというよりも、予算や好みに合わせて調節可能な食事法の1つです」とバードウェル。疫学・地域医療専門誌『Epidemiology & Community Health』掲載の論文によると、脂の多い魚と豆類は閉経を遅らせる一方で、精製糖質は閉経を早めるそう。

 

更年期に避けるべき食品

特定の食品を避けることを避けるべき。「ケトン体ダイエットやパレオダイエットでは、多くの女性が糖質と穀物を食生活から排除します」とバードウェル。「頭痛、イライラ、疲労、便秘が生じたり、甘い物が無性に食べたくなったり、コレステロール値が高くなったり、体がむくんだりするのは、複合糖質が不足しているからかもしれません。摂取すれば更年期の症状が改善するかもしれないのに、糖質は長年にわたり悪者扱いされています」

バードウェルいわく、糖質を摂取すると体がむくみ、炎症が生じて気だるくなり、脂肪が減らないというのは誤解。「糖質のカロリーは1gでわずか4kcal。糖質は筋肉の燃料で、食物繊維を含んでいます。賢く選べば、ビタミンとミネラルの素晴らしい供給源になるんです」。脳にとっては糖質が特に重要。「脳は体の中でもっとも食いしん坊の臓器です。私たちが1日で摂取するカロリーの約20%は安静時の脳によって消費されます。脳は糖質が大好きで、1日あたり400kcalのグルコースを使います。だから、低糖質ダイエットを始めると、気分のむらが激しくなったり、頭がボーッとしたりするわけです」。少なくとも植物性の複合糖質は食生活に戻すべき。

医学的な必要性もなく、乳製品やグルテンを排除する人も増えている。「乳製品は広く流通している上に、比較的安価なカルシウムとタンパク質の供給源。甲状腺の健康維持に必要なヨウ素もふんだんに含んでいます」とバードウェル。「カルシウムが強化されたプラントベースのミルクもありますが、ヨウ素が含まれているケースはまれです。プラントベースのミルクは主成分が水なので、豆乳以外はタンパク質の供給源にもなりません」

 

更年期のブレインフォグに効く食品

更年期に起こりがちなブレインフォグ(頭がぼんやりしてしまうこと)を乗り越えるカギは水分補給にある。「脳の体積の約4分の3は水で、その水の量が少しでも減ると、無気力感、疲労、ブレインフォグ、睡眠障害、気分の落ち込みといった問題が生じます」とバードウェル。ウォーターボトルを手元に置いて、頻繁に水を飲もう。

エクササイズも怠らないで。バードウェルによると、有酸素運動で脳に酸素を送り続ければ、加齢による脳の萎縮を食い止めることができる。カラフルな食材を取り入れた虹色の食事をしよう。「濃い紫色のベリーは、脳の肥料とも言える脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やしてくれます。また、ハーブとスパイスには脳の老化を遅らせて血流を改善する化学物質が含まれています」。気分が落ち込んでいるときは、タンパク質が豊富な食材を。「牛乳、魚、豆類、卵、肉には、幸福ホルモンのセロトニンとドーパミンを増やす作用があり、血行を促進するL-アルギニンやカルニチンが含まれています。これで性欲も湧いてきますよ」

 

更年期の血糖値を安定させるには

a bowl of healthy and delicious strawberry smoothie with grains and fresh fruit

Kseniya OvchinnikovaGetty Images

「血糖値が急上昇したり、適切な範囲から出たりすると、内分泌(ホルモン)系が警戒態勢に入り、血糖値を安定させることに全力を注ぎ始めます」とバードウェル。「その結果、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンといったホルモンの調節がおろそかになり、性欲が減退したり、月経前症候群に似た症状やニキビが生じたり、おなか周りに脂肪がついたり、食欲が増したりすることもあります。どれも更年期の女性に多い問題ですね」

活力不足で気だるいときは、朝からタンパク質を摂取すること。栄養学専門誌『Journal of Human Nutrition and Dietetics』掲載の論文によると、女性は朝食と昼食のタンパク質が不足しがち。「タンパク質が中心の朝食で1日を始めましょう。卵、豆腐、ギリシャヨーグルトなどがいいですね」とバードウェル。「そうすれば活力が持続しますし、血糖値の急激なアップダウンも防げます」。精製糖質は避け、複合糖質(玄米、ジャンボオーツ、豆類、野菜、フルーツ)を選ぶのも大事。

でも、我慢のしすぎは逆効果。「甘い物が食べたいときは、間食ではなく食後のデザートとして食べましょう。そうすれば血糖値が急激に上がりません」とバードウェル。「食後の運動も血糖値を下げてくれます」。ブレンダーに頼るのもやめておこう。「フルーツはジュースにするよりも、そのまま食べたほうがいいですよ。脂質が足せれば、さらによいですね。バナナにパンプキンシードバターを塗ったり、アボカドトーストに卵を乗せたりしてみましょう」

 

更年期の症状をなるべく自然に抑えるためには

英国民医療サービス(NHS)によると、更年期の症状は35種類にも及ぶ。でも、クラークソンいわく大豆製品は強い味方。「豆腐、テンペ、味噌、枝豆、豆乳には、植物エストロゲンという物質が含まれています。植物エストロゲンは体内でホルモンのエストロゲンに似た働きをするので、更年期の症状が軽くなるかもしれません」

カフェインの摂取は就寝の6時間前までにしましょう。それ以降はコーヒー、紅茶、緑茶だけでなく、チョコレートも控えてください。そうすれば睡眠の量と質が改善します」。関節痛には、抗炎症性食品が中心の地中海式の食生活。そして「モーションはローションです。関節が痛くても、運き続けてくださいね」と話すバードウェルは、1日400mgのグリシン酸マグネシウム(マグネシウムビスグリシネート)と1日10mcg以上のビタミンDの摂取を勧める。また、ホルモン補充療法(HRT)は、関節痛を含む数々の症状に効果的。

 

更年期の食事管理の3カ条

1.引かずに足す

「更年期の体内では大きな変化が起きています」とバードウェル。「体から大事な物を奪う時期ではありません」。特定の食品を避けようとせず、良質なタンパク質、脂質、食物繊維で体に栄養を与えてあげよう。

2.骨、筋肉、脳のことを考える

脳と関節にはオメガ3、筋肉にはタンパク質、骨にはカルシウムと大豆。クラークソンが言うように、週2~3回の筋トレも取り入れて。

3.無理をしない

いままでの食べ方を完全に変える必要はまったくない。ポイントは、無理をせずに少しだけ変えること。規則正しい食生活を心掛け、植物性の食物繊維の摂取量を増やし、食事のバランスを考えて、血糖値を急上昇させるような食品を避ければいい。

 

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Laura Potter Translation: Ai Igamoto

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