普段道を歩いているときは何気なく通り過ぎているマンホール。
よくみると模様がとってもかわいいし、もっと目を凝らすとあのお菓子に見えてこないだろうか。そう、月餅である。
マンホールのふたの柄の月餅を作ったらかわいくなりそうだ。作って食べたい!
マンホールのふたの模様って月餅と似てないか
旅行に行ったときはついついマンホールを探してしまう。マンホールのふたの柄って、地域によって個性が出ていておもしろいのだ。行く先々でついつい写真を撮ってしまうのでちょっとしたコレクションになっている。
まったく、どれもこれもかわいい。食べちゃいたいくらい!
そう思ったらマンホールのふたが食べ物に見えてきた。こんなお菓子あった気がするんだよね。円形で、かわいい模様が一面に彫ってあって…。
そうか、月餅だ!
改めてちゃんと比べてみよう。
コンビニをまわって月餅を探した。あったあった、おなじみのヤマザキの月餅!
お皿に乗っけると、まるでおもちゃみたいにツルツルテカテカしている。そして模様がかわいい。中央でとりさんが向かい合っている。周囲にはお花や葉っぱのようなモチーフが規則的にちりばめられている。そして中心に自己紹介のごとく漢字で月餅と書いてある。
比較のためにマンホールのふたも見ておこう。
柄がかわいい。桜のマークなのだ。そして水が溜まって滑らないように細かい穴が開いているのだが、配置のされ方が幾何学的でおしゃれ。しかも真ん中に漢字で文字が書いてあるし。
まとめるとこんな感じだ。
これだけ似ているのだから、マンホールのふた柄の月餅を作ったらかなりしっくりくるのではなかろうか。見てみたいから作ってみよう。
マンホールのふた柄の型を作る
思いついたのはいいが、月餅ってそんなに簡単に作れるものなのだろうか。そもそも月餅の型ってどんな形をしているんだろう。やっぱり一度本物を見ておこう。そう思ってかっぱ橋の製菓道具専門店に行ってきた。
月餅の型なんて汎用性の低いもの、ふらっと探しに行ってちゃんと見つかるのか。そんな不安を吹き飛ばしてくれるのがさすがかっぱ橋である。ちゃんとあった。
月餅の型はクッキーの型のような軽くて簡便なものではない。二枚の分厚い木の板でできている。どういうことかというとつまりこういうことだ。
2枚の板を重ねて、上から生地を押して型どりするようだ。なるほどね。
クッキーの型は種類が豊富で数百円から購入できるのに対し、月餅の型は1種類しかないし1万円以上する。試しに買って帰ろ~、という値段ではなかったのでそっと目をそらした。
おとなしく3Dプリンタで作ることにしよう。
まずはモデルにしたいマンホールのふたの写真を撮ってくる。今回はこの「合流」と書いてあるマンホールにしよう。桜の花の模様なんだけど、5匹のイヌがホールケーキをかじっているみたいに見えてかわいいのだ。
次にこれの写真をひたすらになぞる。ちょっと大変。
なぞったら線だけのデータにして、
それをこうして、
こう!
3Dデータができたのでさっそくプリントしてみよう。
凸凹が逆転したマンホールのふたができた。ネガマンホールだ。
これを生地にぐっと押し付けたらマンホールの模様になるはず。
さぁ、型ができたところで、作るぞ月餅!
初めての月餅づくり
生地の材料は薄力粉、植物油、シロップを混ぜるだけらしい。
砂糖じゃなくてシロップなんだ。なんだか不思議だ。
混ぜると、少しぺとぺとした、クッキーとかパンとかとは全然違う不思議な生地が出来上がった。粘土のような質感だ。
中に入れる餡も作ろう。
こしあんにナッツやドライフルーツを刻んで混ぜていく。
生地と餡の準備が整った。ぜんぶ混ぜるだけだった。思ったより簡単だ。
生地を手でぐいぐい広げる。そして餡を中心におく。
うまいこと丸める。この時点ではただのおまんじゅうだ。
「ネガマンホール」こと、押し付けて模様をつけるパーツと、その外周のサイズに合わせて作った丸形にはめて、
押し込む!
びっくりするほどきれいに模様がついた。
粘土みたいなぺたぺたした生地のおかげで細かい模様まできれいに転写できている。
なるほどー、クッキーのような生地では脆くてきっとここまできれいにできないはず。粘土みたいな生地を不思議に思っていたけれどこんなところで伏線回収だ。
あとは表面に卵黄を塗って、
焼きます!
マンホールをひろい食いする
オーブンでしばらく焼いて、表面がこんがりしてきたら完成だ。
さてさて、うまく焼けたかな…??
マンホールの柄がはっきりと浮かび上がっている。
そして何より、ちゃんと模様が月餅っぽく見える!
寄りでも見てほしい。模様がぷっくりしてかわいい。かわいいよね!?
一番感動したのはここだ。
こんな小さい字がちゃんと読める!型がすごいというより、これはきっと月餅の生地がすごいんだな。
こんなにきれいに焼けたので、ほかのマンホールVer.の月餅も見たくなっちゃうのではないだろうか。もちろんちゃんと作っておきましたよ!
これは、すごく簡単そうだったシンプルなマンホール!
佐渡島の両津市で見つけた、イカがぐるぐる回っている模様のマンホール!
東京都立の公園にあるらしい、ハトや桜やイチョウやらが盛りだくさんのマンホール!
そして茨城県つくば市で見つけたロケットのマンホール!
マンホール写真コレクションの中から、とがったデザインのものだけをピックアップしようと思ったのに、しぼり切れずに5つになってしまった。
ぜんぶ並べると壮観だ。
時間をかけた分愛着が湧いてしまった。食べるのがもったいない。食べるけど。食べるからには最高のコンディションで頂きたい。
そう思って実物のマンホールを探しに行くことにした。
桜柄のマンホール、いつも見ているはずなのにいざ探すとなると見当たらない。
落とした財布を探すかの如く地面を凝視しながら歩く。10分くらい徘徊してようやく見つけた。
ここに作った月餅を重ねてみる。じゃーん!
これを食べれば…
やったぞ。マンホールのふた食べちゃいたいという夢がかなった!!
感無量である。
焼きたての月餅は、生地がザクザクとした歯ごたえでおいしかった。欲張って入れたたっぷりのあんこも、ナッツとドライフルーツがアクセントになって滋味深い。
型を作る際のなぞる工程がとにかくめんどくさかったが、模様をじっくり見るのでデザインの秀逸さがよくわかった。
マンホールの上を滑りにくくするためだけであれば単純な凸凹で機能的には十分なのに、直径60cmほどの円に地域ごとの魅力を彫りこんで表現しているのがすごい。
そしてこんなに素敵なデザインがそこらへんの地面にたくさん埋まっているのもすごい。
これからも旅行に行くたびにマンホール写真コレクションは増えていくだろう。
お気に入りができたら、またこうやって食べちゃおうかな。
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