コロナ禍でライフスタイルが変容する中、大手外食チェーンが「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開している。モスバーガーでは2014年から「朝モス」を本格的に導入しており、現在では朝食の時間帯の売り上げが全体の約1割を支えているという。
朝モスはどのような経緯で始まり、どんなメニューが人気なのか。運営企業のモスフードサービスに取材した。
朝モスの導入経緯について、担当者は次のように語る。
「朝食の時間帯の販売強化に取り組み始めたのは11年以降です。それ以前から『朝活』がブームになっており、朝食の時間帯を有意義に使おうという機運の高まりを感じていました。
当時は団塊の世代が定年を迎えるタイミングでもあり、主力のランチタイム以外の時間帯も販売力を強化しようということで、営業時間を早めて朝食メニューを導入することになったのがきっかけです。13年から49店舗で朝モスのテスト販売を行い、14年にほぼ全店に導入しました」
朝モスを全店に導入したころは、和定食を意識した「モスの朝ライスバーガー 朝御膳」や、忙しい朝に手軽に食べられる「モスのホットサンド」など9商品を順次発売していった。
現在では、野菜をしっかり摂れる“モスならでは”を意識した商品を展開している。そのラインアップは、「モーニングバーガーB.L.T.」(310円)、「モーニング野菜バーガー」(360円)、「モーニング野菜チーズバーガー」(390円)、「ソイモーニング野菜バーガー」(380円)、「ソイモーニング野菜チーズバーガー」(410円)の5種類。
その中でも、モーニング野菜バーガーが一番人気とのこと。こちらも、モスバーガーの特徴であるトマトとレタスを朝から気軽に摂れる商品だ。
例えば同業他社であるマクドナルドが展開している「朝マック」と比較してみると、サンドイッチメニューに野菜(レタス)が入っているものは「チキンクリスプマフィン」(190円〜)のみ。サイドメニューに「サイドサラダ」(300円〜)などあるものの、野菜が摂れるメニューの充実さという点では対照的だ。
また同社は肉を使用しないメニューとして、大豆由来の植物性たんぱくを使った「ソイパティ」を開発しており、朝モスのメニューではソイモーニング野菜バーガーなどに使用されている。ソイパティの開発には、栄養バランスを考えた食生活で病気の予防や改善が期待できるという「医食同源」の考え方が背景にあるそうだ。
こうした考えに基づき、モスバーガーでは通常メニューとしてバンズの代わりにレタスで挟む「菜摘」(なつみ)や、プラントベースのカップデザートといった健康志向のメニューを多数展開している。
朝モスを実際に利用している層について聞くと、立地によって違うものの「40〜50代女性・60代男性」がボリュームゾーンとのこと。こうした年齢層に選ばれている背景には、モスバーガーの健康志向のコンセプトが影響していそうだ。
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