※本稿は、森由香子『ダイエットしたい人のやせるキッチン』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■甘い物はどうしても食べたくなってしまうもの
改めて言うまでもなく、甘い物は太ります。太りたくないのであれば、できるだけ食べる量を減らすにこしたことはありません。
でも、甘い物を食べてはいけないと思えば思うほど、どうしても食べたくなってしまうものです。
それは、単に意志の問題ではありません。実は、甘い物には中毒性があるのです。
砂糖には、幸福感や癒しを感じさせるドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといったホルモンの分泌を促す働きがあります。だから、甘い物を食べると脳は快感を感じ、思わずほっとします。これが癖になると甘い物中毒に陥り、どうしても甘い物が食べたい! といった衝動を抑えられなくなってしまうのです。
そんな甘い物中毒を断ち切るにはどうしたらいいでしょうか。
簡単です。甘い物を家の中に置かないようにすればよいのです。一念発起して、「家では甘い物は食べない」と決めてしまいましょう。
ただし、さすがにそれだけでは味気ないので、たとえば週に1回外出先でなら食べてもよいと、自分の中でルールを決めるのです。
冷蔵庫などにストックしておいた甘い物を家で食べるより、カフェでケーキなどを食べれば、満足感や特別感も高いでしょう。家で食べるのを我慢する励みにもなるはずです。1週間我慢したご褒美として、甘い物を楽しむ時間を作りましょう。
何よりまずは、冷蔵庫やキッチンの棚などに甘い物を置いておかないこと。家族にも協力してもらって、お土産などで甘い物は買ってこないようにお願いしておくとよいでしょう。
■朝食を前の晩に用意しておくだけでやせる理由
朝は少しでも寝ていたい、いろいろやることがあって忙しい……。そんな理由で、ついつい朝食を抜いたりしていませんか。
やせたいのであれば、朝食抜きは絶対にNG! こうした習慣を続けていると、人はどうしても太りやすくなります。
朝食を抜いてしまうと、どうして太りやすくなるのでしょうか。食べる量が減っているのだから、その分やせるはずだと言われる方がいますが、人の体重の増減は、それほど単純ではありません。
まず、朝食を食べると、筋肉でできている胃腸の働きが活発になり、体温が上がるため、基礎代謝量が増えます。それだけカロリーを消費しやすくなるということです。
反対に朝食を抜くと、体温が上がりにくくなるだけでなく、昼食時に血糖値の急上昇を招きます。
そもそも朝食を抜くと、どうしても昼食をたくさん食べてしまいがちです。人間の体は一定の血糖値を保とうとするため、朝食を食べないでいると、アドレナリン、コルチゾール、グルカゴンなど、血糖値を上げるホルモンの分泌が活発になります。そこに昼食をたくさん食べると、ホルモンの効果もあって血糖値が一気に上がってしまうのです。
その結果、インスリンもたくさん分泌されてしまいます。インスリンには血液の中にある糖を体脂肪として蓄えてしまう働きがあるため、どうしても太りやすくなるのです。
ですから、朝時間がない人は、起きたらすぐ食べられるように、前の晩に翌日の朝食を用意して冷蔵庫に入れておきましょう。続けていれば、やせやすい体質に近づいていきます。
■ダイエットしたいなら、朝からしっかりたんぱく質!
朝食を前日の夜作っておくとなると、おにぎりやサラダを用意しがちです。もちろんそれでも食べないよりはいいのですが、私がおすすめしたいのは、たんぱく質が豊富な朝食です。肉や魚、卵、大豆・大豆製品などをしっかりとる朝食を食べたほうが、体重が落ちやすくなるからです。
まず、たんぱく質は消化するときにエネルギーをたくさん使います。
また、食事をとることで体温が上がりカロリーが消費される食事誘発性熱産生も、ごはんやパンなどの炭水化物よりもたんぱく質のほうが高いのです。
実際、肥満の人を対象としたある研究では、6カ月〜1年間、同じカロリーで低たんぱく質の食事と高たんぱく質の食事をとった人々を比較したところ、高たんぱく質の食事をとった人々のほうが、脂肪量の減少も体重の減少も大きかったことが報告されています〔出典=肥満症の食事療法とその管理 J-STAGE.(2023).〕。
また、朝にたんぱく質が多い食事をとると、私たちに「もっと食べたい!」と思わせるグレリンという摂食ホルモンの分泌が下がることがわかっています。反対に、コレシストキニンやペプチドYY、GLP-1といった満腹感を誘発するホルモンは上昇し、食欲が抑えられ食事量を減らせるのです。
■筋肉維持の面でもたんぱく質は大事
そもそも、寝ている間に体内のたんぱく質の分解も進んでいるので、朝食でたんぱく質を摂取することは、筋肉維持の面からも重要です。
私たちの体内で、たんぱく質はアミノ酸に分解されてアミノ酸プールというところに蓄えられているのですが、寝ている間に消費され、蓄えが減ってしまいます。朝食を食べてアミノ酸プールの需要と供給のバランスを保つ必要があります。毎日、たんぱく質が豊富な朝食をしっかりとって大事な筋肉を維持し、余分な脂肪だけを落としていくようにしましょう。
■お茶を飲むと甘いものを食べたくなってしまう
体型が気になりはじめた人が注意したいのは、食事だけではありません。仕事や家事の合間にちょっと休憩したいとき、お茶、紅茶、コーヒーなどを飲むことがあるでしょう。実はここにも、太りやすくなる落とし穴が潜んでいます。
なぜなら、お茶などを飲むと、どうしても「甘いものをちょっとひと口」という気持ちが起きがちだからです。毎日続ければ確実に余分なカロリーを摂取し、体に脂肪を蓄えることになってしまいます。
■だし汁は味覚を整えてやせやすくする
こうした誘惑に悩まされないために、私はお茶ではなく、だし汁を常備することをおすすめしています。
だしパックなどで普通にとっただし汁を容器に入れ、冷蔵庫に入れておくのです。
2〜3日は保存できます。冷凍庫で保存すれば、風味はやや落ちますが、もっと持ちます。
そして、何か飲みたいなと思ったら、お茶やコーヒーではなく、常備しているだし汁を飲むのです。
だし汁には旨みが出ているので、脳が満足感を感じ、食欲が抑えられます。実際、旨み成分であるグルタミン酸とイノシン酸が入っているスープを4日間飲んでもらったところ、満腹感を覚えやすくなり、昼食の摂取量が減ったという研究結果も報告されています(出典=Una Masic and Martin R Yeomans,“Umami flavor enhances appetite but also increases satiety”,American Journal of Clinical Nutrition 2014;100:532-8)。
私が以前勤めていたクリニックの入院患者さんには、調味料を極力減らして濃くとっただし汁で作った汁物を飲んでもらっていました。皆さんだんだん味に慣れてきて、薄味でもおいしく感じるようになったとおっしゃっていました。濃い味が好きだとどうしてもごはんなどをたくさん食べがちなので、味覚を整えてやせやすくするという観点からも、だし汁を飲むのはおすすめです。
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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)
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