最近、近所にモスバーガーが出来た。バーガーチェーンと言えば生来ほぼマクドナルドのみを愛好してきた筆者は、それをきっかけに遅ればせながらモスとも親交を深めつつある。
このままマックやモス以外のバーガーチェーンたちとも打ち解けていきたいところだが、待っているだけでは難しかろう。自宅周辺にあらゆるバーガーチェーンが集結し、居住地域が無類のバーガータウンに成長すれば話は別だが、そう都合良く行くまい。
などと考えていた筆者のもとに、ある情報が流れてきた。このたび2023年12月14日に、ロッテリアの「絶品チーズバーガー」がリニューアルされたらしい。ロッテリア自体ほぼ初体験だが、自ら歩み寄る良い機会だ。同商品を通じて、まずはロッテリアの味を知ろうではないか。
「ほぼ初体験」と書いたのは、ロッテリアを食べた時の記憶があまりにおぼろげだからだ。幼少期に1度食べたか食べていないか、それくらい曖昧である。薄れ具合で言えば、もはや離乳食にまつわる記憶とほぼ差がない。
が、それほどに冷え切った旧交であっても、まだ温め直せるはずである。濃密な仲になれるはずである。そうして勇み足を隠すことなく「絶品チーズバーガー(440円~)」を手に取ったわけだが、同商品は前述の通り、リニューアルを迎えたばかりだ。
むろん、筆者はリニューアル前を知らない。おそらくそんなことを堂々と言い切るべきではないし、そんな人間がレビューするのはどうなのかと思わないでもないが、フラットな視点で評価に臨めるという利点はある。「物は言いよう」といった指摘は差し控えて頂きたい。
ともあれ実物の包み紙を剥くと、バンズに押し込められたボリューミーなパティと、たっぷりのチーズソースがお目見えした。完全に初対面であるとはいえ、「絶品チーズバーガー」がリニューアル前から定番の人気商品だということは知っている。
期待を胸にかぶりつくと、その期待は良い意味で裏切られた。もっとも、期待を上回ってきたというより、予想とは別方向からの衝撃に揺さぶられた、という方が正しいかもしれない。
まずチーズソースだが、レッドチェダーチーズと4種類(ゴーダ、チェダー、マスカルポーネ、パルメザン)のチーズをブレンドしたと宣伝しているからには、てっきりしつこいくらいのテイストなのかと思いきや違った。
とろみとコク深さを備えつつも、後味はほどほどだ。幾重にも複合されたチーズの重厚さを感じさせながら、舌にのしかかってくることなく、なめらかに流れていった。押し引きのバランスが取れていて、実に食べやすい。飲み込んだそばから次の一口を欲してしまう。
加えて何より驚いたのは、パティの仕上がりである。100%ビーフのジューシーさが、全くチーズ負けしていない。それどころか胡椒のスパイシーさが合わさって、個人的にはチーズよりもさらに印象深い。噛むほどに響く旨味に、パティが主役かとさえ思わされる。
正直、今まで食べてきたバーガーチェーンの中でも、ここまでパティに感動させられた店は初めてかもしれない。まるでマックとモスしか知らなかった人間であることを忘れさせるような筆致を披露してしまったが、それだけインパクト抜群だったということだ。
また、書き添えておかねばならないのは、からしマヨの存在である。密かにバーガーに仕込まれたそれは、全体をピリリと引き締めるアクセントの役割を十二分に担っている。リニューアル前には入っていなかったそうだが、前面にツンと来る辛さではないので安心してほしい。
結論としては、「絶品チーズバーガー」はロッテリアに不慣れだった者をどっぷりとロッテリアに引き込むクオリティだったと言える。「これがロッテリアの味か」という念を強く抱かせてくれた。この鮮烈な体験をきっかけに、同店との親交をいっそう深めていきたい所存だ。
いやしかし、まだ未体験のバーガーチェーンともねんごろになっていきたい。時間が有限であるのがもどかしい限りである。身体が分裂でもできれば話は別だが、そう都合良く行くまい。そしてこんなに贅沢で、楽しい悩みもあるまい。
参考リンク:ロッテリア 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
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