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Sunday, August 30, 2020

2カ月で約30kg痩せた男が白米のかわりにたっぷり食べていたもの - auone.jp

ダイエットに何度も挫折する人は何が原因なのか。2カ月で約30kgの減量に成功した作家の金森重樹氏は、「ダイエットの指標として食べ物のカロリーは参考にならない。摂取カロリーを抑えても、糖質を摂っている限り痩せない」という――。

※本稿は、金森重樹『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

食事を切り替えるだけで劇的に体重が落ちていく

本記事で紹介するダイエット方法の最初の一歩となるのが、食生活を断糖高脂質食にシフトチェンジすること。糖質を極力排除して、代わりに脂質をたっぷりと摂る食事を続けることで、それまで糖質をエネルギーにしていた体が脂質をエネルギーにするように切り替わっていく。脂肪酸がβ-酸化されることで体内にある脂肪がエネルギーとして燃えるのですが、こうなると体に蓄えられた脂肪がどんどん燃えていくので、短期間で一気に痩せることができます。

金森 重樹氏

撮影=湯浅立志

僕の場合はたったの2カ月で30kgも落ちましたし、そのセオリーをまとめた『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)の担当編集さんも4カ月で17kg落ちました。男性の中年太りの場合、食事を断糖高脂質食に切り替えるだけで劇的に痩せる人は非常に多いです。

裏を返せば、それだけ糖質が不必要で悪いということ。これはなにもダイエットに限った話ではなくて、糖質は歯周病や糖尿病とも密接に関係していて、健康や長寿にも悪い影響を及ぼします。断糖高脂質食を始めるにあたって、糖質が体に与える影響を知ることはとても有効ですので、まずはそこからお話ししていきたいと思います。

体重がわずか2カ月で32kg減

完全にメタボで、自分で靴下が履けないほどの肥満体だった僕に転機が訪れたのは、’16年の年末でした。歯科クリニックの経営に携わっていた関係で、ある研究論文を読んでいました。その内容に強い関心を抱いたのです。

その研究とは「4週間、歯を磨かない代わりに、旧石器時代食だけで暮らす。肉と魚、ナッツ類を食べ、小麦を中心とした穀物、イモ類、乳製品は摂らない」というものです(※1)

※1…「The Impact of the Stone Age Diet on Gingival Conditions in the Absence of Oral Hygiene」Stefan Baumgartner

実験の結果は実に鮮やかでした。4週間もの間、歯を磨かなかったにもかかわらず、糖質を摂らなかっただけで歯茎からの出血は減少し、歯周ポケット、口腔内環境全体が改善されることがわかりました。

試しに僕も旧石器時代食を始めてみたところ、当初90kgだった体重がわずか2カ月で58kgまで減りました。この思わぬ副産物にとても驚き、その後は様々な書籍や論文を読み漁るようになっていったのです。

糖は人類にさまざまな問題をもたらした

中でも興味深かったのが、『食生活と身体の退化』(著:ウェストン・A・プライス)。この本は1930年代に歯科医師プライス博士が世界中を旅して、主に農耕文明以前の狩猟採集生活を送る先住民族の食事と虫歯の関係を調べたものです。その中で「人類は農業によって退化していった」という主張が述べられています。

これは人類学的に考えて非常に面白い考察です。人類が農業を始める前、つまり旧石器時代の人間は、米や小麦などの穀物を食べていなかった。つまり糖を摂らない肉魚中心の食生活でした。そのため、当時の人類は虫歯や歯周病に一切かかることなく、親知らずも死ぬまで残っていたそうです。

この傾向はイヌイットにも見て取れます。アザラシやカリブー(トナカイの一種)の肉や、アザラシの脂に漬けた鮭、落花生しか食べていない先住民族・イヌイットも歯医者いらずで知られています。彼らの摂る食事には虫歯の原因となる糖質がわずかしか含まれていないので、虫歯になりようがなかったのです。

しかし近代化に伴い、精製された小麦粉や甘い果物や砂糖が先進国からもたらされると、重症の虫歯だけでなく深刻な問題が“お口まわり”に起きるようになりました。アーチが締まって歯が乱杭状態になる、鼻腔が狭くなって口呼吸になる、そのほかにも歯周病や関節炎などの退化傾向―つまり「奇形」が見られるようになった、と自著でプライス博士は論じています。

これは「糖の恐怖」と言っても過言ではないはずです。

「命より先に歯が尽きる」いびつな日本人の食生活

事実、現代の日本では長年放置されてきた「歯」の問題が深刻化しています。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」といういわゆる「8020運動」が推奨されていますが、死ぬまでに自分の歯が残っている人が少ないのが現状です。命より先に歯が尽きるのです。

そして英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal, BMJ)」(※2)では、米ハーバード大学の研究者らによって’12年3月に「白米の摂取量の増加が糖尿病のリスクを高める」との研究結果が発表されました。つまり今の日本人の食は非常にいびつで、糖質を主食にした食事を否定しない限り、健康にはならないと僕は考えています。もちろん歯も残りません。

※2…BMJ2015 Emily A Hu,An Pan,Vasanti Malik,Qi Sun,et al.White rice consumption and risk of type2 diabetes: meta-analysis and systematic review.BMJ 2012;344:e1454

逆に旧石器時代の先祖と同じような食事をしたらどうでしょう。それこそが、僕が偶然体験した「狩猟採集民族のような食生活」でした。たった2カ月で90kgから58kgに減量できただけでなく、肌にはハリが出て疲れにくくなり、気力もみなぎる。周りの人に驚かれるほど若返ったのです。

こうした食生活は心臓病や高血圧、糖尿病、がん、歯周病といった現代人が忌み嫌う病を遠ざけ、さらには減量も期待できるのです。

日本人の食生活は糖質のオンパレード

そもそも人類が糖質を摂るようになったのなんて、生物学的な進化の歴史で見れば「ほんの最近のこと」です。それまで狩猟や採集で食料を賄っていたのが、人類は一万年足らず前に農耕を取り入れることで安定的に食料にありつけるようになりました。農耕は社会構造を刷新するほどのインパクトがありました。

ところが農耕文明以降、米や麦、トウモロコシなどの穀物――つまり糖質を主食にするようになってから、人類は虫歯や歯周病の問題にも見舞われるようになりました。命より先に歯が尽きる、歯列の矯正が必要になる、という“退化”は、この弊害を端的に表しているように思います。

にもかかわらず現代の日本人の食生活は非常にいびつで、糖質のオンパレードと言っても過言ではありません。こんな状況では、メタボや生活習慣病と無縁でいられるわけがない。糖質を主体にした食事をやめない限り、現代人は途方もなく大きな健康リスクを抱えることになるのです。

1ページ目の図にもあるように、肥満は放置しておくと、次々と重篤な状況を体にもたらします。透析を欠かせない生活であったり、あるいは認知症であったり。“負の連鎖”は肥満から始まるのです。その肥満の原因となる糖質を制御することは、ただ太らないだけでなく、自分への投資にもつながります。ダイエット的な観点以外でも、糖質が健康に与える影響を人はもっと知るべきだと思います。

肥満に悩む人たちは「悪循環」に陥っている

ここで、糖質が肥満を招くメカニズムについて簡単に触れてみたいと思います。私たちは食事をすると、血液中に含まれるブドウ糖の濃度、つまり血糖値が上がります。するとその上がった血糖値を下げるために、すい臓からインスリンが分泌され、その働きによって血液中の糖が各細胞に取り込まれます。

そしてこのインスリンには、使い切れなかったブドウ糖を中性脂肪として体に蓄えたり、脂肪の分解を抑制したりする働きもあります。人間がエネルギーを備蓄するうえで不可欠な働きではあるのですが、現代人はここで歯車が大きく狂ってしまっているように思えてなりません。

糖質主体の食事によって血糖値が上がれば、インスリンは大量に分泌されてしまいます。その結果、余ったブドウ糖は中性脂肪に変わり、それらはやがて内臓脂肪や皮下脂肪となっていく。肥満に悩む人たちは、この悪循環から抜け出さなくてはいけません。

脂は実はダイエットの大きな味方

とはいえ、糖質の中毒性は非常に強く、その依存性はコカイン以上と評する実験結果も存在します。また、PFCバランス(タンパク質、脂質、炭水化物の比率)が2:2:6とする一般的な「バランスのよい食事」を前提とすると、ただ糖質を断っただけでは1日に必要な総エネルギー量の60%を失うことになるので、エネルギー不足に陥ってしまうことも見過ごせません。

この2つの問題を解決するのが、断糖高脂質食にある「高脂質」の部分。つまり、脂です。

カロリーが高く、一般的には「ダイエットの敵」と言われる脂質。そんなものをわざわざ大量に摂るなんて「とうとうこの人は頭がおかしくなったんじゃないか」と思った方もいるかもしれませんね。けれど、脂を摂って痩せる「ハイファット(高脂質)派」を僕が推すのには、きちんとした理由があるのです。

そもそも、ダイエットの指標として食べ物のカロリーを重視する人があまりに多いですが、これはナンセンスです。なぜなら、カロリーはボンブ熱量計の中で燃やした食物と排泄物の差を熱量と仮定しており、実際は体温による代謝と大気中の燃焼は別。それに、各栄養素ごとに代謝・消化吸収率は異なるので、参考にすべき数字ではありません。

カロリーという意味のない数字に縛られ、ダイエットに失敗する人があまりに多いように思います。

糖質中毒から脂質依存にアップデートせよ

先に触れたように、糖には強烈な依存性があります。その強さはラットの実験でコカイン以上と言われるほど。糖を摂ると血糖値が急激に上がり、ハッピーな気分になります。いわゆる「シュガーハイ」と言われるものですね。しかし、幸せな気分になるのは一瞬。その後、すぐに血糖値が落ち込み、猛烈な渇望感が生じてくる。この繰り返しによって糖への依存性が高まって、ますますやめられなくなるのです。

金森重樹『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)

金森重樹『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)

そこで糖への依存を断つために僕が考えたのは、「新たな依存先」を作ることでした。依存の対象先を糖から脂にシフトさせる。糖質中毒から脂質依存になるのです。なぜなら、旨味では糖質に勝つだけの依存性としては弱く、脂のほうが依存性としてはより強力だからです。

特に僕のダイエット法では、動物性脂質やMCTオイル、魚油等を使って脂質依存に移行させるのが肝。中毒性の高い糖に中毒性の高い脂質をあてる。言うならば、「毒をもって毒を制す」ならぬ「脂肪をもって脂肪を制す」の考えと言えましょう。

脂質依存になると、脳は甘いものを求めなくなります。これは、高脂質食を始めたフォロワーさんたちが口を揃えて言っていることですが、完全に脂質依存になった段階で甘いものへの欲求や渇望が消滅します。それは糖から脂質へのエネルギーの切り替えによって脂質でATP(エネルギーの源になるもの)が生まれるようになるため、糖の渇望が消えるのが理由です。

牛丼はインスリンを多く分泌させてしまう

もうひとつのわかりやすい効果としては、脂質が脳の視床下部に作用して、満腹感を感じさせるホルモン「レプチン」を分泌させるので、結果として食事の量も減っていきます。牛脂を50g食べると満腹になって、コースのメイン料理は入らない……なんてこともザラです。

なにより、脂質が優れているのはインスリンが出ないことです。ここにインスリン分泌の多寡の順序を挙げておきますので、ぜひ覚えてください。F(ファット)が脂質、P(プロテイン)がタンパク質、C(カーボン)が炭水化物なのですが、インスリンが多く出る食事の組み合わせ例は次のようになります。

『C+P(牛丼)>C(白米)>C+F(ポテトチップス)>P(赤身の肉)>P+F(脂身の多い肉)>F(牛脂)』

上位3つの組み合わせにはいずれもCが入っています。中間にはPが入る組み合わせが。一番下はFのみです。これが痩せるスピードにおいて、

断糖高脂質>MEC>糖質制限

となる理由の一つです。MECとは、肉・卵・チーズを中心とする食事法です。このインスリンをできるだけ出さない食事が、断糖高脂質食ダイエットの鍵になる序列です。

金森 重樹(かなもり・しげき)
行政書士・不動産投資顧問
東大法学部卒。25歳の時に1億2000万円の借金を負う。マーケティングの技術を活用して35歳で借金を完済。行政書士として脱サラ。不動産、建設、ホテルチェーン、医療法人、福祉事業などグループ年商100億円の企業グループのオーナー。個人で日本最大2メガワットのメガソーラー発電所を宮古島で開設。自宅の冷蔵庫とストッカーは自治体からのお礼の品でいつも満杯。ふるさと納税を始めて食費はほぼ「0円」を更新中。著書に『2015年改訂版 100%得をするふるさと納税生活完全ガイド』。

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August 31, 2020 at 09:15AM
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