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2020年のアメリカ大統領選で民主党のジョー・バイデン氏が勝利を確実にし、アメリカで初となる女性の副大統領が誕生する見通しとなった。その座につくのは、女性で黒人、アジアにルーツを持つカマラ・ハリス氏だ。
ハリス氏はどんな人物なのか。
黒人であり、アジアにもルーツを持つ女性副大統領
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ハリス氏は、西部カリフォルニア州生まれの56歳。
母親はインドから、父親はジャマイカからアメリカに来た移民で、黒人でアジアにルーツを持っている。両親が離婚した後、がん研究者で市民権活動家の母親シャマラ・ゴパラン・ハリス氏が、ハリス氏と妹のマヤさんを育てた。
ハリス氏は黒人だが、奴隷としてアフリカから連れてこられた人たちに直接のルーツを持たないことから、ハワイに留学していたケニア人の父を持つバラク・オバマ氏と重ねられることも多い。
Thinking of my mother today. She was smart, fierce, and my first campaign staffer — and I dearly wish she was here with us for this moment. Her spirit still drives me to fight for our values. pic.twitter.com/pf0lFrvoWI
— Kamala Harris (@KamalaHarris) January 22, 2019
《頭が良くて強かった母。彼女は私の最初の選挙スタッフでもありました。彼女が今、一緒にいてくれたらどれだけいいだろうと思っています。彼女の精神は今でも、私が我々の大切な価値観を守るために闘うための原動力です》(ハリス氏のツイート)
ハリス氏に大きな影響を与えたシャマラさんは、2009年に亡くなった。
ハリス氏はワシントンポストに、自分は「誇り高いアメリカ人」であり、黒人とインド系の両親を持っていることが、自分のアイデンティティの中で「同じだけの重みを持つ」と述べている。
大学卒業後は検事の道を進む
ハリス氏は、ワシントンD.C.にあるハワード大学を1986年に卒業。ハワード大学は、黒人のための高等教育機関として作られた「歴史的黒人大学」の一つだ。
その後、カリフォルニア大学ヘイスティングズ・ロー・スクールで法律の学位を取得した。
卒業後は検察官としてキャリアを積む。2004〜2011年までサンフランシスコ地方検事を務め、黒人としても女性としても初めてカリフォルニア州の司法長官に就任。2期にわたり全米人口最多の州の司法長官を歴任した。
彼女の経歴で特筆すべきことがある。ハリス氏はカリフォルニア州全土で不登校を減らすキャンペーンを展開し、レイプ事件の解決に尽力。
また、サブプライム住宅ローン危機をめぐっては、当時デラウェア州の司法長官を務めていたバイデン氏の息子ボー・バイデン氏(2015年にがんにより死去)と協力し、金融機関を厳しく追及。住宅所有者の救済に尽力した。
ハリス氏は、民主党の中でも中道・穏健派とされるが、リベラルな一面も持つ。
たとえば、同性婚合法化の闘いには大きな役割を果たした。
2008年に州議会を通過し、カリフォルニア州での同性婚を禁止した同性婚禁止条項「プロポジション8(提案8号)」に反対し、同性婚の合法化を求めて連邦高裁で争った。
2013年、連邦最高裁は州内の同性婚を再び認める判断を下し、最終的に同性婚は解禁された。ハリス氏は、「すべての市民が権利を持てる時が来ました」と語っている。
BBCによると、ハリス氏は自身を「進歩的な検察官」としており、出所者の社会復帰事業の導入や犯罪統計データベースの公開、カリフォルニア州の警察官にボディカメラの着用を義務付けるなどの警察改革を行ってきたと主張している。
一方で、根本的な警察改革には消極的で、犯罪を厳しく取り締まる政策などには批判の声もあった。
2016年に上院選当選、「ガラスの天井を打ち破る」次なる存在として期待がかかる
2016年、上院議員に当選。
黒人のアメリカ人女性として連邦上院議員に選出されたのは史上2人目の快挙だった。また、上院議員に当選した初のインド系アメリカ人でもある。
当時、ヒラリー・クリントン氏が大統領選に敗北したことで、女性大統領を熱望していた多くのアメリカ国民は大きなショックを受けていたが、ハリス氏の当選は、「ガラスの天井を打ち破る」次なる希望として期待を残した。
副大統領候補に指名される
Kevin Lamarque / Reuters
そして、2020年の大統領選挙で、ハリス氏は予備選に出馬。
バイデン候補の対立候補として選挙戦を闘ったが、十分な選挙資金が集まらなかったため、2019年12月に予備選からの撤退を表明した。
20年8月、バイデン氏は副大統領候補に上院議員のカマラ・ハリス氏を指名。
バイデン氏は副大統領候補を選ぶ基準として、1. 大統領になるのにふさわしい業績があること、2. 重要な問題で共通の考え方をしていること、3. 女性であること、の3つを示しており、抗議活動「ブラック・ライブズ・マター」が全米に広がっていたことから、白人以外の候補者を指名するのではないかと見込まれていた。
コンバースで選挙活動も話題に
副大統領候補になってから初めてウィスコンシン州ミルウォーキーを訪問した際には、スニーカーブランドのコンバースを履いていたことにも注目が集まった。
Alex Wroblewski / Reuters
女性の政治家は一般的にハイヒールを着用するが、動きやすく、これまでの「女性らしさ」のイメージを覆すような装いに注目が集まった。
ハリス氏は長年のコンバースファンとして知られ、過去の政治活動でもコンバースのスニーカーを履いてきたという。
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女性であり、黒人であり、アジアにルーツを持ち、移民の子でもあるハリス氏。アメリカ社会の多様性を体現するかのような副大統領のこれからに期待がかかっている。
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