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Monday, November 21, 2022

ケンタッキーはなぜ、「バーガー」にこだわったのか? 小売り、外食の「バーガーバトル」が始まっている - リテールガイド

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いま、バーガーに注目が集まっている。多くのスーパーマーケット企業がバーガーの商品化に踏み込み、外食もその価値を改めて見直している。

総務省家計調査年報(2人以上世帯)を見ると、2020年からは「ハンバーバーガー(外食)」が「おにぎり」の消費支出を上回るようになった。それはコロナ禍で外食が苦戦する中、バーガーチェーンが「席を間引きしたイートイン」「テイクアウト」「デリバリー」「ドライブスルー」など4つの武器で戦った結果だともいえる。

さらにバーガーはファストフード業態だけでなく、レストラン、スーパーマーケット(SM)、コンビニ(調理パン)でも販売されるようになるなど、ある種ブームのような形となっている。

現在、マクドナルドのハンバーガーは150円(税込み、以下同)に値上げされているが、かつてマクドナルドはハンバーガーの「平日半額」や「100円」で大きく時代を動かしたといえる。そのマクドナルドが、外食がコロナ禍で打撃を受ける中でも好調を維持したことも、追い風となっているのだろう。

ライフコーポレーションのバーガー売場(カメイドクロック店)
マルエツでは、2つ折りのパンの「パーカーハウス」による商品化ということであえて「パーカー」と表記している(板橋南町店)
ベイシアでは惣菜売場の平台で提案(行田店)
首都圏のセブン&アイグループSMのヨークの売場(新座馬場店)
アクシアル リテイリンググループのフレッセイの売場(朝倉店)

一方で競争も激しくなりそうだ。各業態のバーガーを調査してみた。

総務省家計調査年報(2人以上世帯)

「ケンタッキーフライドチキン」サンドからバーガーへ名称変更し、新商品を3品発売

2022年10月11日、ケンタッキーフライドチキン(KFC)の新商品発表会が行われた。キャッチフレーズは「ケンタッキーバーガー本気宣言」。KFCの1店当たりの1日の来店客数は21年、18年に比べて来店客数が21%伸びたという。

今回の発表は既存商品を名称変更した「チキンフィレバーガー(390円)」「和風チキンバーガー(390円)」に加えて、「辛口チキンフィレバーガー(420円)」「チーズチキンフィレバーガー(420円)」「ダブルチキンフィレバーガー(590円)」の3品を加えて5品のラインアップとなった。

KFCは一般に言われる「バーガー」を「サンド」という名称で販売していたが、今回から「バーガー」に変更した。その狙いは「サンド」より「バーガー」の方が分かりやすいことと、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の時代、「サンド」ではKFCが検索で出てこないことも挙げられるという。

写真の上段2品は既存商品、下段3品が今回発表した新商品。「和風チキンフィレバーガーセット」は740円で、圧力フライヤーを使うことで差別化を図っている

ハンバーガーの代表的チェーンのマクドナルドにも「牛肉」だけでなく、「てりやきチキンフィレオ」など「チキン」のメニューも多い。

マクドナルドのてりやきチキンフィレオ。フライドチキンを揚げて照り焼きソースを絡めレタスを挟んだでいる。歯応えはしっかりしていて、照り焼きソースとの相性は良い

アメリカで大人気のChick-fil-A(チックフィレイ)

アメリカで人気のチキン専門ファストフード店のChick-fil-A(チックフィレイ)は1946年創業。抗生物質、ホルモン剤を使わない鶏肉を使用している他、キッズメニューも充実している。大きな特徴は日曜日に営業しないこと。年間52日の休日があるにもかかわらず、1店舗当たりの平均年商は、マクドナルドやKFCを上回っているとう。驚異のファストフード店であるため注目する必要がある。

「Chick-fil-A Chicken」(単品2.99ドル)。チックフィレイ人気ナンバーワンのフライドチキンバーガー。メニューの中では最低価格。写真は朝食セットで、フライドチキンマフィンで挟んだものにフライドポテトと飲料が付いている
「Egg White Grill」(単品4.55ドル)グリルチキンと卵焼きをマフィンに挟んだもの。グリルチキンとフライドエッグの相性が抜群。加熱積みチキンではなく店内のグリラーで焼いたものを使用

SMのバーガーはどうか。SM、コンビニのバーガーは統計上は「調理パン」に分類されている。イトーヨーカドー曳舟店ではインストア製造のバーガーをまとめて多段ケースで販売している。

アメリカンフェア実施中(10月8日)には「肉の旨み! THEビーフバーガー」を販売。牛肉と玉ネギミックスのパティ。

「フィッシュフライバーガー」(198円、本体価格)、「サクッとジューシー!チキンフィレバーガー」(298円、本体価格)。「肉の旨み! THEビーフバーガー」など、他にも品揃えはあるが100円台、200円台、300円台の3価格帯を品揃え。ソースは「ダブルソース」

アメリカのウェグマンズの「the Burger Bar」

「ORDER」と書かれたネオンサイン。米国のSM企業、ウェグマンズには食品売場にオーダーによるテイクアウトバーガー専門店と、料理をテーブルまで運んでくれるテーブルサービスがある「ザ・バーガーバー」を展開している。またアメリカではピックアップ、デリバリーが伸びているためスマホで注文しておけば待つことなく商品が受け取れる。

サラダとセットになったハンバーガー(2018年撮影)。焼きたてのパティとベーコンを陶器の皿で提供してくれる。同じプレートにサラダが盛られている
ボストン名物の「クラムチャウダー」とのセット(18年)

アメリカでは精肉売場のチルドハンバーガーパティの品揃えが充実している。ウェグマンズでも「Specialty Burgers」のコーナーで牛肉100%のチルドパティ2枚入りを販売。家庭でもハンバーガーをつくることを提案している。

SMはどのようにハンバーガーを販売したらよいか

SMはインストアベーカリー製造の「チキンバーガー」「メンチカツバーガー」「エビカツバーガー」「フィッシュバーガー」「コロッケバーガー」などを販売している。

パンコーナーにはパンメーカーのバーガーを販売している。

ファストフードやレストランは「オーダー」によるもので、SMは「作り置き」が主体だ。パンメーカーの低価格ハンバーガーは消費期限も2日ほどあり、外食では扱いがないため差別化になる。

店内のカフェでもバーガーを扱う店もあるが、バックヤードでパティを焼かず、加熱調理品を使っているためファストフードに比べて見劣りする。将来はウェグマンズのように本格的なハンバーガーの販売も考えたい。

さらに「チルドパティ」と「バンズ」を販売して家庭でおいしいハンバーガーをつくることも提案したい。ハンバーガーでの、お客のTPOS(時間、場所、機会、ライフスタイル)に合わせた品揃えと売り方」が必要だ。

ハンバーガーの月別消費支出は7月、8月、9月の子供の夏休み期間と、12月、1月の冬休み期間、3月の春休みに高まっている。

ベーカリーのハンバーガー、パンメーカーのハンバーガーはこの時期が売り時だ。休みに入ると同時に平台のアイテムを広げて大量陳列するとよい。今後も成長は続くと思われるが競争も激しくなっている。それぞれの商品のメリットを明確にして販売することが必要だ。皮肉にもコロナ禍の20年は米とパンが逆転し米の需要が伸びた。

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