- 米グルメバーガーチェーンのレッド・ロビンは、若年層の顧客ベースを構築することを目的に、デジタルスクリーンを活用してZ世代にアプローチするための新しい計画を推進している。
- 同社はそもそも全国放送のテレビCMがマーケティングの主流だったが、現在はビヘイビアルターゲティングに焦点を当てているようで、ファーストおよびサードパーティデータの洗練に注力している。
- サードパーティCookieの代替手段として代替識別子の導入に期待が高まっているが、そこにはスケールやリーチの問題は指摘されている。
嫌な予感はしばらく前から漂っていた。だが、GoogleがサードパーティCookieの廃止をついに始めるなか、広告主勢もようやく重い腰を上げ、各々のターゲティング戦略におけるCookieの穴を埋める動きを見せはじめた。
創業54年の老舗ハンバーガーチェーン、レッド・ロビン(Red Robin)のCMOケヴィン・メイヤー氏も然りであり、その穴については実際、2023年5月の就任前から思慮を重ねていた。
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このレガシーブランドはこの1年、5つのポイントからなる新たな計画「North Star」の実施に向けて取り組んできた。それは、デジタルスクリーンを介してZ世代の目に触れるためのマーケティングおよび広告戦略のテコ入れ策だ。同社は実際、データプライバシー関連のイニシアチブの数々によってデジタルマーケティングの実施が困難になるなか、とりわけ若年層の顧客ベース構築を進めている。
データの洗練に磨きをかける
「これまでの我々は、いわゆる散弾銃のような全国放送のテレビCMが主だった。だがいまは、ビヘイビアルターゲティングに重きを置いている」とメイヤー氏は話す。
CMO就任以来、同氏はレッド・ロビンのデジタルメディアをビジネス成長の牽引に欠かせない一手と見なし、そのアップグレードに時間を割いてきた。それはつまり、ファーストおよびサードパーティデータに磨きをかけていることを意味する。サードパーティデータの洗練はレッド・ロビンの5つのポイント計画の一環で、そこにはロイヤルティプログラムの構築も含まれており、達成は容易にさえ思える。
だが実際、サードパーティデータははるかに困難だ。同じことは、GoogleからサードパーティCookieが消えゆくなか、顧客のターゲティングおよび獲得のための代替チャネルを探し求める大半の広告主にもいえる。
より多くの顧客をターゲティングおよび獲得するべく、より大きな網を投じるなか、レッド・ロビンは従来のCookieトラッキングに代わり、「Unified ID的なターゲティング」、つまりeメールアドレスまたは電話番号を由来とする代替識別子や同様のモデリングにフォーカスしているという。
「Googleや我々のプログラマティックデータの一部は確かに、広告配信対象の一部の人々の理解には利用できる。ただ、それはすでにレストランにいる人々のことであり、彼らはパズルの1ピースに過ぎない」とメイヤー氏は述べ、「とはいえ、そうした諸々をすべて利用すれば、マーケティング効果がどの程度なのか、真に理解するための一手段になると考えている」と言い添える。なお、同社は2023年9月以来、エージェンシーパートナーのアピアリー・デジタル(Apiary Digital)とともにデータ戦略に取り組んでいるという。
代替識別子はあれど課題はスケール
Googleが広告主に餌を投げてくれるか否かを見極めてから動くような、いわゆる待ちの姿勢を取る代わりに、一部のマーケター勢はサードパーティCookieに代わる術を試しはじめている。とはいえ、実験には常にある程度の不確実性が伴うため、及び腰のところも少なくない。
「いま現在、市場にはさまざまなソリューションがある」と、プログラマティック広告企業のプロキシミック・バイ・コムスコア(Proximic by Comscore)でマネージングディレクターを務めるレイチェル・ガンツ氏は話す。「ブランド勢がいまこぞって試しているのは、Unified IDといった代替識別子だ。確かに素晴らしいものではあるが、スケールには依然、限界がある」。
メイヤー氏が詳細を明かさなかったため、レッド・ロビンのメディア支出の実態は定かでない。メディアレーダー(MediaRadar)によれば、2024年1月、レッド・ロビンは同月の広告支出のじつに93%をデジタルディスプレイ広告に投資した。残りの7%分はペイドソーシャルおよびモバイル広告だった。ビビックス(Vivvix)によると、2023年1月から11月にかけて、同社の広告費は700万ドル(約10億5000万円)強であり、これにはパスマティックス(Pathmatics)由来のペイドソーシャルデータも含まれる。この数字は2022年同期の2130万ドル(約32億円)を著しく下回る。
GoogleによるサードパーティCookieの制限は、モバイル機器におけるターゲティング広告の精度を下げたAppleのATTとともに、不確かな未来に向かうさらなる一歩にほかならない。見通しは不確かであり、広告主勢にしてみれば、Cookieレスという未来への対応計画の構築は極めて困難だが、ガンツ氏いわく、いわゆるサプリメンテーションが今後の鍵を握ることになるという。
代替識別子があるとはいえ、その大半にはスケールやリーチなどの問題がある。それゆえ、サードパーティCookieと同様の全体的な顧客データベースの創造には、広告主には複数ソリューションの融合が求められるとガンツ氏は述べ、「ブランド勢は一貫性のあるオーディエンスリーチ、ターゲット、定義を求めているが、そこにたどり着く戦略にはさまざまな手法による補完が必要となるだろう。いずれにも固有の問題が付随するからだ」と言い添える。
どこに向かうかはまだ誰にもわからない
10年前、レッド・ロビンはカジュアルダイニング界のリーダーを自負していた。だがそれ以来、「我々は少々道を見失っている」とメイヤー氏は嘆く。正道に戻るべく、同チェーンはデジタルメディア戦略の強化に希望を見いだしているが、それにマーケティング予算増が伴うか否かは、「少なくとも現段階では何とも言えない」と同氏は言う。
しかしながら、「ただ現在は、いま持っているものを利用し、それをなおいっそう活用することにフォーカスしている」と付け加え、「我々はまだ、マーケティングメトリクスやトラフィックに関する信頼を掴みはじめたところであり、そこからどこに向かうのかは誰にもわからない。皆、そうではないか?」と投げかけた。
[原文:Inside Red Robin’s comeback plan amid a cookie-less future]
Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)
からの記事と詳細 ( Cookieレス を見越したデジタル戦略の洗練化。米グルメバーガーチェーンの復活計画 - DIGIDAY[日本版] )
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