生牡蠣の可能性をとことんまで追求してみた
生牡蠣はおいしい。
異論は認めますが、筆者の中では死ぬ前に食べたいものベスト3に常にランクインしています(他の2つはその時によって変わります)。
できるだけたくさん、生牡蠣が食べたい。
ワインに合わせたり、日本酒に合わせたり、時には白ごはんにも合わせて。
もしかしたらおやつにもなるかもしれない。
本記事では、生牡蠣を20個用意して、とにかくいろいろな食材と合わせてみました。
生牡蠣とマッチする食材20本勝負
生牡蠣に添えるものといえば、定番はレモンやポン酢などの酸っぱいもの。さらに辛い系の薬味。しかし、もしかしたら甘いものにも合うかもしれないと思ったのです。
そこで、生牡蠣に添えるものを20種類揃えて、すべて試食してみました。
ほとんどは普通のスーパーでも売られているような、一般的な食品です。
並べてみると壮観です(レイアウトの関係で選抜16種類です)。
さて、ジャンル別に順番にご紹介していきましょう。
【フレッシュ果実部門】
1.レモン
2.ゆず
3.いちご
【甘いもの部門】
4.リンゴンベリージャム
【辛い調味料部門】
5.ホットソース
6.ハリッサ
7.粒マスタード
8.花椒辣油
9.ガラムマサラ
10.スイートチリソース
11.姜葱醬
【漬物等部門】
12.山形のダシ
13.輪切りハラペーニョ
14.新生姜
15.梅干し
16.キムチ
【発酵食品部門】
17.納豆
18.チーズ
【酒部門】
19.ウイスキー
20.ウォッカ
今回の生牡蠣には、さまざまな産地の生食用の殻付きの生牡蠣を織り交ぜて使っています。
小粒のものを選んでいて、味はさっぱり目のものが多いです。
食べてみてから気づいたのですが、それぞれの牡蠣の塩味の強さに幅があり、それによって合う食品も変わってくると思いました。
フレッシュ果実はスパークリングワインに合わせたい
【フレッシュ果実部門】
最初は肩慣らし的に、間違いない定番の組み合わせからいただいてみましょう。
傍には白のスパークリングワインを用意しました。
1.レモン
レモンを絞った生牡蠣を、チュルッと一気に口に含みゆっくりと舌で潰すように味わいます。レモンの酸味が牡蠣の香りを引き立て、まさに絶品です。
これは読者の皆様も想像のつく味だと思います。これをひとつの基準にして、他の食材をレビューしていきましょう。
2.ゆず
ゆずは香りが強いのですが、酸味がレモンよりやや弱いです。そこで果汁を多めに絞ってみました。
それでもやや味の弱さを感じたので途中で皮もかじってゆずの香りを強化してみました。
そうしたら……見事に高級和食っぽくなりました。
ゆずを使用する場合は、最初から皮を削りかけた方が良いかもしれません。
3.いちご
見栄え的には抜群ないちごとの組み合わせを試してみます。
しかし、いちごだけでは酸味がやや弱く、牡蠣の風味に負けてしまう気がしました。そこで、牡蠣にはあらかじめレモンを絞りかけ、そこにいちごを添えて口に放り込んでみました。
うん、良いです。いちごとレモンの酸味が牡蠣の香りの輪郭をハッキリとさせ、スパークリングワインによく合うスッキリとした味わいの前菜になりました。
今回買った牡蠣は塩味の強さにバラつきがあったのですが、甘い系の食材には塩味が控えめのものが合うと思います。
甘酸っぱいジャムは牡蠣の風味を引き立てる
【甘いもの部門】
甘いものも牡蠣には合うと思うんです。
でも、甘いだけよりも酸味が強い方がいいかなと思い、家にある中で一番酸っぱいジャムを選んでみました。
4.リンゴンベリージャム
リンゴンベリーは日本でいうとコケモモ。甘さ控えめで酸味が強く、スウェーデンなどではミートボールの付け合わせにしたりします。なので、しょっぱいものにも合うはず、と思って試してみたところ……やはり合いました!
複雑な味わいが口腔内で余韻となるだけじゃなく、いちごと似た感じの酸味もあるので何も足さずにこのままいけます。
これも塩味控えめな牡蠣に合わせて、白ワインと一緒に前菜にしたいです。
辛い系の調味料はほぼ何でも相性良し
【辛い調味料部門】
辛いものが大好きな筆者。自宅には辛い調味料がたくさんあります。
多分、どれも生牡蠣に合うはず。どんどんかけてみました!
5.ホットソース
まずは定番のホットソース。これは普段からやっているので間違いない組み合わせです。
ホットソースは辛味、酸味、塩味の、生牡蠣をおいしく食べるための三要素をすべて兼ね備えた調味料。さらにだいたい自宅のキッチンに置いてあるのも素晴らしい点です。
お酒はビールでも、白ワイン系でも、レモンハイなんかも良いですね。
6.ハリッサ
最近はだんだんメジャー化して、普通のスーパーでも手に入るようになったチュニジアの辛味調味料、ハリッサ。
酸味が少なく、にんにくとコリアンダー、クミンなどのスパイスが効いている調味料なのです。塩味も強めなので、あっさり目の生牡蠣にコクを足してくれます。これももし入手できたらぜひ試していただきたい組み合わせ。
7.粒マスタード
粒マスタードを冷蔵庫に常備されている方は比較的多いのではないでしょうか。
酸味と塩味もちょうど良く、生牡蠣の風味を引き立てます。
これは薄切りのライ麦パンにのせて食べてみたのですが、予想どおりバッチリ合いました。
ビター感の強い黒ビールとの相性が良さそうな組み合わせです。
8.花椒辣油
花椒や唐辛子の入った具沢山の花椒辣油です。
これをのせたら生牡蠣が一気に中華風に! 花椒の抜けるような痺れ感が、牡蠣のうま味をさらに引き立ててくれます。もちろんバッチリ合う組み合わせです。
豆腐の上にのせて生牡蠣を崩しながら食べたら、きっと紹興酒がすすむことでしょう。
9.ガラムマサラ
カレーなどの風味を強化するインドのミックススパイスです。
最初はカレーそのものをかけようとしたのですが、それだと生牡蠣の風味が隠れ過ぎてしまうのではと思い、ガラムマサラだけをかけてみることにしました。
結果、どことなくインド風の生牡蠣に? コクや酸味がややもの足りなく、さっぱりし過ぎてややインパクトにかけますが、何個も食べる中で1個くらいこれが入ってきてもいい感じかもと思いました。
10.スイートチリソース
タイの甘くて酸っぱいソースです。
これはヒット! 定番化決定です。
スイートチリソースはけっこう甘味が強い調味料なのですが、そこが牡蠣の塩気とマッチして、とても良い塩梅なのです。
甘酸っぱさで生牡蠣の香りを包み込んでくれるので、生牡蠣が苦手な人もこれなら食べられるかもしれません。
今度食べる時にはパクチーものせて試してみたいですね。絶対おいしいはず。
11.姜葱醬
中華の調味料で、生姜と葱が油漬けになっている姜葱醤(ジャンツォンジャン)。
これはいつも生姜焼きや唐揚げの下味などに便利なので使っていました。
試してみたところ、生牡蠣との相性はいまいち。酸味がなく、塩味も薄めなので味がぼやけてしまいます。
もしこれを使うなら、牡蠣を炒めて醤油味をつけたところに加えると良いかなと思いました。
生牡蠣が白ごはんのおかずになるという可能性が立ち上がった
【漬物等部門】
生牡蠣は、筆者にとっては基本的に酒のつまみです。
しかし、漬物シリーズを食べていたら思わず叫びたくなりました。
「白ごはん持ってこい!」と。
今までは生牡蠣はつまみ、牡蠣フライや炒め物はおかず、という認識でしたが、漬物と合わせた生牡蠣は見事に白ごはんのおかずになったのです。
12.山形のダシ
山形の郷土料理のダシ。最近は東京のスーパーでも既製品が売られています。
きゅうりや茄子などの野菜をみじん切りにして昆布と和えた、浅漬けのようなものです。
塩気とうま味があり、これだけでもごはんがすすむとてもおいしいものなのですが、生牡蠣と合わせてみたら、それはそれは高級感のあるごはん泥棒になりましたよ。ぜひ熱々のごはんと一緒に試していただきたい組み合わせです。
このしょっぱみは日本酒にも合いそうです。
13.輪切りハラペーニョ
メキシコのハラペーニョ(唐辛子の一種)の酢漬け。これもうちの冷蔵庫に常備されています。
酸味が強く、甘味のないシャープで刺激的な辛さのため、生牡蠣特有の磯の香りを抑えてさっぱりいただけます。
これも間違いない定番アイテムになりそうです!
合わせるお酒はさっぱり目のビールやテキーラでも良いですね。
14.新生姜(甘酢漬け)
予想はしていましたが新生姜も抜群の相性でした。
白ごはんに合わせて良し、日本酒に合わせて良し、焼酎にももちろん良いですね。
酸味、辛味、塩味、甘味に加えて、生姜の風味のバランスが生牡蠣と合い過ぎて、食べている手が止まらなくなります。
生牡蠣を買った時には新生姜をセットで買うことを強くおすすめします!
15.梅干し
ここまでの流れで予測はついていたのですが、当然のように梅干しも生牡蠣に合いました。酸味と塩気が牡蠣のうま味の輪郭をハッキリとさせてくれます。
お酒は日本酒がベストマッチでしょう。
しかし、白ごはんと一緒に食すのもやはり強くおすすめしたいです。
生牡蠣と梅干しを白ごはんの上にのせて、少しずつ崩して食べると最高です。
16.キムチ
白ごはん泥棒がここにも!
そういえば、韓国食品店では牡蠣を漬け込んだ牡蠣のキムチも売っています。
そもそも牡蠣とキムチはうま味が強いもの同士の組み合わせで、相性がいいのでしょう。これをほかほかの白ごはんにのせて掻っ込んだら他におかずはいらない……!
さっぱりした韓国焼酎を飲みながら、ちびちびつまむのもまた至福です。
発酵食品でコクが倍増。お互いに高め合う理想の関係
【発酵食品部門】
トロリとしたコクが魅力の生牡蠣。
やはりコクのある発酵食品と合わせてみたらどうでしょう?
今回は身近で手に入りやすい発酵食品、納豆とチーズを合わせてみました。
17.納豆
納豆は付属のタレで和えておきました。
生牡蠣をスプーンで崩して納豆を混ぜて食べてみたら、居酒屋のつまみでよくある「ネバトロ」(納豆を刺身などと混ぜたもの)のさらに濃いバージョンのような、コクがハンパない味わいに。いくらでも日本酒が飲めてしまうつまみになりました。
これも日常づかいで食べたい組み合わせです。
18.チーズ
こちらはワインのつまみになるように、クリームチーズと合わせてみました。
これもチーズのコクと生牡蠣のコクが合わさって、ちょこちょこつまみながらワインを飲めるつまみになりました。
他にもいろいろなチーズで試してみたのですが、ブルーチーズなど塩味が強いチーズの方がより「つまみ力」が高まるかなと思いました。
納豆も同じなのですが、ひと口でパクリと食べずに、少しずつつまんだ方が良さそうです。
酒との一体化を楽しむ
【酒部門】
さて、最後は酒そのものと合わせてみましょう。
スコッチウイスキーで有名なスコットランドのアイラ島では、生牡蠣にシングルモルトウイスキーをかけて食べるのが定番だそうですよ。
19.ウイスキー
これは国産の生牡蠣なので、ウイスキーもたまたま家にあった国産のものを使いました。
ウイスキーは豪快にじょぼじょぼかけましょう。それがアイラ島流だそう。
一気にジュルンっとひと口でいただきます。
まず、ウイスキーの香り、そして噛むと生牡蠣の香りが一気に鼻腔をくすぐり、そこにウイスキーの味と生牡蠣の甘味が押し寄せます。なんとも複雑な味わいです。
ウイスキーが好きな人には絶対おすすめな、クセになる食べ方です。
20.ウォッカ
今度はもっと生牡蠣の味がそのまま味わえそうな、シンプルな味のウォッカをかけてみました。
ウォッカといえばロシア。そこでロシアでの生牡蠣の食べ方を調べてみましたが、普通にレモンを絞りかけるのが一般的なようでした。
ともかく、ウォッカをじょぼじょぼと景気良くかけてみました。
そして、ひと口でパクリ。
まず、口に広がるのはウォッカの刺激。そして遅れて生牡蠣の風味。
味は……生牡蠣がアルコール消毒されてしまったのでしょうか? 香りがやや弱まってしまったような気がします。
これは、やはり生牡蠣にはレモンをかけて口に放り込んで食べてから、追いかけるようにしてウォッカを飲むのが良いかもしれません。
生牡蠣をいろいろな食材20種類と合わせて食べてわかったこと
生牡蠣は何と合わせてもその個性を失わない食べ物でした。
そして、合わせる食材によって新たな扉を開くということに気づきました。
そして、つまみにもなり、おかずにもなり、おやつにもなるということにも。
生牡蠣の可能性は無限に広がります。
読者の皆様も、おすすめの生牡蠣に合う食材があったらぜひ教えてくださいね。
書いた人:工藤真衣子
カメラマン。美しい人が好きなのでグラビア、音楽が好きなのでライブ写真、映画やドラマが好きなのでスチール写真、美味しい食べ物が好きなのでグルメ写真。雑誌、WEBなど各メディアで活動中。趣味は美味しい料理を作って食べること。子供写真スタジオ「アトリーチェ」の経営もしております。
からの記事と詳細 ( 「生牡蠣」が好きすぎる私、酒や食材20種類と合わせたら多幸感がすごかった - メシ通 )
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