年を取ると、深夜2時まで起きていたりフェスティバルの仮設トイレを受け入れたりすることが不可能になってくる。それと同じで、二日酔いを避けるのは年と共に難しくなる。
最後の1杯を飲んでから2度目の夜が明けたのに、朝から吐き気、頭痛、全体的な不調感が止まらないのは、30歳以上の人にありがちな“三日酔い”。
英国民医療サービス(NHS)によると、1週間の飲酒量は14ユニット(弱めのワインなら小さなグラスで10杯、アルコール濃度が37.5%の蒸留酒ならシングルで14杯)までに抑え、1日ではなく数日に分けて飲むべき。2018年の世界的な研究結果も、アルコールに間違いなく“安全”と言える量はないことを示している。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。
二日酔いが2日続くことはある?
端的に言えばある。「二日酔いは自ら招く負のサイクル。飲酒量の管理がおろそかになると、二日酔いが48時間ほど続くこともあります」と説明するのは、ヘルスケアサービスPall Mall Medicalに所属する総合診療医のチュン・タン医師。
「2日連続で飲んだり、単純に飲みすぎたり、飲むペースが速すぎたりというのは飲酒量の管理がおろそかになった例ですね。お酒とお酒の間で水を飲まない、違う種類のアルコールを混ぜる、連日の飲み会で睡眠の質を下げるのも、好ましい行動ではありません」
三日酔いの体内では何が起きている?
「三日酔いの感覚は時差ボケに似ていますが、この場合の時差ボケは長距離の移動というより人付き合いによるものです。土曜日の深夜3時まで起きていたら、翌日の日曜日は体内時計が狂ったままです」とタン医師。
「しかも体は、飲酒の影響と二日酔いの症状に対処するべく、いつも以上に働きます。肝臓はアルコールの処理に忙しくなりますし、あなたは寝不足でグッタリでしょう。アルコールには利尿作用があるのでトイレに行く回数が増えます。その結果、体内の水分が不足して頭痛が生じる。嘔吐によって胃が数日間の炎症を起こす可能性もありますね」
総合診療医のヘナ・ハク医師によると、二日酔いの正確なメカニズムはまだ解明されていない。「でも、アルコールが脱水症状、睡眠パターンの乱れ、胃腸の炎症(おなかの不調)を引き起こすことは分かっています」
アルコール代謝の影響も現れる。「肝臓は2段階のプロセスでアルコールを分解します。第1段階では、一時的な副産物としてアセトアルデヒドという毒素が作られます」とハク医師。
「このアセトアルデヒドが蓄積すると、頻脈、発汗、皮膚の紅潮、吐き気、嘔吐などの問題が現れます」
吐き気が一向に収まらない理由
「吐き気と嘔吐が長引くのは、その両方が胃を刺激するからです。そのような二日酔いの症状が出ている上に水分補給を怠ると、体が深刻な脱水状態に陥る可能性もあります」とタン医師。
「リスクの高い集団、つまり高齢者、糖尿病のような慢性疾患がある人、尿を増やす薬を服用中の人、耐久アスリート、暑い地域に住んでいる人は脱水症状が重くなりがちです。また、これは残念な話ですが、遺伝的に有毒な代謝産物アセトアルデヒドの分解を助けるアセトアルデヒド脱水素酵素の量が少なく、生まれつき、お酒に弱い人もいます」
二日酔い不安とは?
二日酔い不安とは、ご想像の通りアルコールが引き起こす不安のこと。飲んだ翌朝に現れることが多く、強い恐怖感や羞恥心に襲われたり、精神的に追い詰められたような感じがしたりする。動悸が激しくなって、落ち着きを失うことも。
アルコールが不安を誘発する仕組み
「血中のアルコール濃度が下がり始めると、脳内では一度減っていた化学物質の量が再び増え始めます」と説明するのは、精神科医のアパルナ・アイヤル医師。「アルコールは、人に解放感を与えるGABAという神経伝達物質に似た作用を持つため、飲んでいるときはリラックスして社交的な感じになります。でも、翌日は、その反作用で不安が一気に大きくなります」
二日酔い不安を治すには、いまのところ、呼吸エクササイズをしたり趣味に没頭したりしてストレスを極力減らすくらいしか方法がない。そして、最善の予防策は不安のもとを減らすこと。
この不安が治まらず、日常生活に支障が出始めた場合は、迷わず医師に相談を。
二日酔いは年と共にひどくなる。これは本当?
「年齢は私たちの生理機能に影響を与えます」とハク医師。「代謝が遅くなり、免疫反応も変化するので、年を取ったら若い頃と同じようには飲めないでしょう」。食べ物と飲み物を素早く分解する体の能力は年と共に衰えるので、お酒が抜けるのにも時間がかかるようになる。
また、タン医師によると、高齢者は若い人に比べて体脂肪の割合が高くなりがち。「脂肪はアルコールを吸収して体内にとどめるため、(体脂肪の割合が高くなると)肝臓の酵素がアルコールをうまく流し出せなくなるのです」
二日酔いの症状は通常どのくらいで治まる?
人の体はみな違うので、二日酔いの長さも人それぞれ。とはいえ、二日酔いの症状は通常24時間、長くても72時間以内に治まる。
三日酔いの症状を和らげるには?
NHSによると、世の中には科学的な裏付けのある二日酔いの治し方が存在しない。吐き気や頭痛などの症状を即効で止める方法もないという(この状態で人に大事なメッセージを送るのは危険!)。
でも、お酒の飲みすぎによる不快感は、ある程度落ち着かせることが可能。もちろん、迎え酒以外の方法で。
二日酔いの症状の多くは水分不足によるものと言われているので、できるだけ早く回復するカギは水分補給にあると言っていい。
飲み会のあとに水をたっぷり飲んでから眠りにつけば、二日酔いの症状がかなり軽くなるかもしれない。日中は、消化器系にやさしい液体(水、炭酸水、スポーツドリンクなど)を継続的に摂取しよう。
また、アルコールは血糖値を下げるので、三日酔いの不幸に見舞われたときは、炭水化物や甘い物を食べると楽になる(飲んでばかりで何も食べずにいると、ひどい状態になるのはこのせい)。ジャムを塗ったトースト1枚やジュース1杯でエネルギー補給を。
アルコールは睡眠中の体の回復プロセスを阻害して、睡眠を途切れされるため、二日酔いは一種の寝不足状態とも言われている。昼寝をしたり紅茶やコーヒーを飲んだりすると、頭と気分がスッキリするかもしれない(ただし、コーヒーは体の水分を奪うので水と一緒に飲むことが大切)。
「頭痛には鎮痛剤、吐き気には制酸剤を飲みましょう」とタン医師。「そして、スープや電解質パウダーで水分補給をしてください」
でも、実際のところ三日酔いは、治すより防ぐほうがよほど簡単。
三日酔いを防ぐには?
「まずは飲みすぎないことです(前述の通り1週間で14ユニットが推奨リミット)。そして、昔から言われるように空きっ腹で飲まないこと。胃の中の食べ物はアルコールの吸収を遅らせて、胃炎を防いでくれます。お酒とお酒の間と寝る前に水を飲むのも忘れないようにしてください」とタン医師。最後の点は、体が水分不足に陥るのを防ぐためハク医師も強調している。
「ラムやウィスキーのような色の濃いお酒は、血管を刺激して二日酔いを悪化させるので避けましょう。炭酸飲料もアルコールの吸収を速めて二日酔いを悪化させます」。ルシアンコーク(ウォッカのコーラ割り)は、やめておいたほうがよさそう。
飲みすぎには、どんなリスクが?
「アルコールは、消化管のがんを含む多くの疾患、特に大腸がんと肝疾患を引き起こします。アルコールの摂取によってがんのリスクが高まるのは、アルコールがDNAを損傷させるからです」とタン医師。「アルコールが原因で大腸内でポリープ(良性腫瘍)が形成され、がん化する恐れもあります」
断酒は心身に無数のメリットをもたらす。アルコールには抑制作用があるので、それをやめればメンタルヘルスが向上するし、フィットネスのゴールも近づく。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Claudia Canavan Translation: Ai Igamoto
からの記事と詳細 ( 年を重ねるごとにひどくなる? 二日酔いが2日も続いてしまう三日 ... - Women’s Health Japan )
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