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Wednesday, April 15, 2020

コロナの時代の誕生日|ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン|花房観音 - gentosha.jp

これを書いているのは、リアルタイムで4月12日、日曜日の夜だ。

誕生日を迎え、49歳になった。

ついに50歳まで、1年をきった。

 

誕生日だからといって、コロナ騒動の真っ最中で、わーい! と、浮かれることもなく、いつも通り仕事をして、淡々と過ごしている。今年に限らず、結婚披露宴もしなかったぐらい華やかな舞台が苦手なので派手な祝い事などは避けているし、「おめでとう」と人に言われても、私自身は「年取ったな」ぐらいしか思わない。

それでも自分が、あと1年で50歳になるというのは、感慨深い。

20代の頃は、自殺願望がバリバリあったので、こんな長く生きるつもりもなかったし、まさか50歳前にして、セックスがどうたら書き、しかもそれを仕事にしているなんて、思いもよらなかった。

確実に老化している

今、現在の私の状態を書くと、生理はまだある。

いつ生理が終わるかもしれないと、生理用品の買いだめはしないようにしていたので、トイレットペーパー買い占め騒動の際に、近所のドラッグストアで一時期、生理用品まで品薄になったのには困った。

更年期の症状は、よくわからない。

母親に「更年期しんどいで!」と、電話するたびに脅されるが、今のところはそんなにひどい症状は出ていない。

最近は、とにかく免疫力アップ! と、きちんとした食事を作ってほとんど自炊をしているせいか、基本的に体調はよい。

ここ数ヶ月、目がとにかく疲れているのだが、それは加齢のせいか、仕事で本をかなりの量を読んでいるせいか、どっちなのかわからないけれど、多分、どっちも原因なのだろう。

老眼は着々とこの一年で進んでいるし、白髪は増え続けている。

身体のあちこちは確実に老化している。

特に肌が弱くなった。肌の丈夫さだけが取り柄だったのに、紫外線にあたると湿疹が出るようになったので、UVカット装備をしなければ外に出られない。

閉経カウントダウンを意識しはじめてから、一番気になっていたのは、自分の性欲や性の興味が失われてしまうことだったけれど、そちらのほうは特に変化はない。若い頃のように、激しい衝動に突き動かされたり、好奇心で突っ走ることは無くなったけれど、深く静かに焔が燃えている感じで、相変わらず、大真面目にいやらしいことを考えたり書いたりして生きている。

性的な衝動にかられても、体力と気力がついていかない、というのもある。

老いた私に順応していく

あと、昔好んでいたデザインが、どうも着たくなくなって、去年はたくさん服を捨てた。

「おばさんだから似合わない」というより、好きじゃなくなったのだ。

前は全然平気だったのに、きつい香水に耐えられなくなり、カフェで香水臭い人が近くに来ると、席の移動をしないと落ち着かない。自分自身も香水をつけるのをやめた。香りの強い柔軟剤も苦手になった。

そして甘い物と、冷たい食べ物が、かなり駄目になった。パフェやかき氷は食べきれない。甘い物が欲しくなることはあるけど、洋菓子よりも和菓子派に完全シフトした。好きなのに、食べられないもの、食べたらお腹をこわしてしまう食べ物が増えた。

そしてこれは数年前からだが、夜に出歩くことがほとんどなくなった。なるべく夜は家でじっとしていたい、外に出ると疲れてしまう。

お酒も飲まなくなった。これは自分で意識して飲まないようにしているのもある。飲むと次の日がしんどくて、仕事に支障が出るのが嫌なので深酒もできなくなった。

激しい変化はないけれど、私は、ゆっくり、確実に、老いている。

9年前と今の違うところ

コロナ騒動の中、世の中に不安や怒り、悲しみが蔓延して、どうしても9年前を思い出さずにはいられない。

東日本大震災のあとだ。

39歳から、40歳にかけては、激動の年だった。

団鬼六賞大賞を受賞し、夏に知り合った人と急に結婚を決めて、半年で婚姻届けを出した。まさか自分が結婚をするとは思わなかったので、家族も驚いていた。

同時に震災が起こり、最初の本を出した。デビューしたけれど、毎日ニュースに流れる原発の放射能漏れや津波で亡くなった人たちの数字や、家を失った人たちの映像で、明るい未来など目の前にはなかった。

それでもあの頃は、とにかく必死で、小説家になれたのだからしがみつかねばと突き進んでいた。

なんとなく、文章で食べられるようになり、仕事も絶えず、ベストセラーや名誉などには縁がなくても、ぼちぼちやってはこれた。

今、コロナ騒動で不安な日常を過ごし、9年前の暗い世の中の空気を思い出すが、あのときと違うのは、いつ自分や家族が感染するかという不安におびえ続けなければいけないのと、その収束が見えないことだ。

きっと、多少は落ち着いても、「今まで通り」にはいかないだろう。

不安と戦うのではなく、どう共存していくか。

どう生きていけばいいか、どう生きるべきか。

大切な人たちや場所を守るためには、どうしたらいいのか。

これから、自分が何をすべきかというのをつきつけられている誕生日だった。

(京都の和菓子でお花見。
紫野源水の桜の有平糖)
(コロナ騒動で物産展が中止になり、
在庫抱えた北海道のお店から購入した
チーズの詰め合わせ)

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April 16, 2020 at 04:01AM
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