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Wednesday, July 15, 2020

コロナ太りは「脳の暴走」! 糖質・脂質中毒で悪循環に…“やせ脳”に生まれ変わる「食べ物&食べ方」 - MSN エンターテイメント

AERA 2020年7月20日号より © AERA dot. 提供 AERA 2020年7月20日号より

 緊急事態宣言下での約2カ月の自粛生活。4割の日本人が体重増加を経験したといわれる。だが、その背景にあるのは単純な食べすぎや運動不足ではない。漠然とした不安感やストレスが招く脳の快楽中枢の暴走は、意志の力では止められない。必要なのは、脳をコントロールする正しい知識と方法だ。AERA 2020年7月20日号は「脳科学ダイエット」を特集。

*  *  *

 52.5キロ。体重計に表示された数字を見て、販売会社の事務職の女性(38)はため息をついた。ここ15年ほど体重は40キロ代後半をキープ、どんなに太っても50キロを超えることはなかった。それが今年4月下旬に50キロを突破、そのまま過去最高値を更新し続けている。

 会社は3月下旬からテレワークとなり、現在も一部継続中だ。自宅にいる時間が長いため、口さびしくなるとつい買い置きの菓子に手が伸びる。以前は週に1、2日はジムに通っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに退会。出勤しない日は近所のスーパーやコンビニに行くぐらいしか出歩かない。

「自分でも典型的な“コロナ太り”だと思います。早くなんとかしなければと思いながらも、積極的に運動する気にもなれず、体重の増加を止められません」

 6月22日、スポーツ庁の鈴木大地長官は、新型コロナによる外出自粛の影響で成人の約4割が体重が増えたという、オンラインフィットネス会社サーティフィットの調査結果を示した。5月12、13日に20~40代の全国の男女600人にインターネットで実施したところ、体重が1~3キロ増えた人が女性32%、男性21.7%、5キロ以上増えた人は男女共に4%いたという。

 一般的に「コロナ太り」「在宅太り」は、自粛による運動不足と捉えられがちだ。だが、イェール大学などで先端脳科学研究に携わった精神科医の久賀谷亮医師はこう語る。

「肥満の原因は、運動不足よりもストレスによる影響のほうがはるかに大きい。先が見えず、外出が制限され、普段と同じような生活ができないなかで不安を抱え、食べ物に対する依存が高まっていると考えられます」

 久賀谷医師によると、ストレスがあるときや手持ち無沙汰のときについ食べすぎてしまうのは、手っ取り早く快楽を得られるから。食事をすると食べたものが糖質となって腹側被蓋野(ふくそくひがいや)を刺激、快楽物質であるドーパミンが放出される。

 この脳の「快楽中枢」を食べ物によって刺激する習慣ができると、「もっと強い刺激」を求めるようになり、依存が生じる。酒やドラッグに対する依存と同じメカニズムだが、マウスを使った実験では、糖分にはコカインよりも高い依存性があるという結果が出たという。

 工藤内科副院長でダイエット・コレステロール外来も担当する工藤孝文医師(37)も、コロナ太りは単なる食べ過ぎや運動不足ではないと指摘する。

「自粛期間中、食事と運動量は同じなのに体重が増えて血糖値が上昇したという相談が増えました。不安な気持ちになると、幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』が不足する。それを食事によって補おうとしたことが主な原因と考えられます」

 コロナ禍のダイエットを考えるとき、脳の存在を無視することはできない。(1)何を食べるか(2)どうやって食べるか、この二つが脳に与える影響を順に見ていこう。

 まず、何を食べるか。実はもっとも手っ取りばやくセロトニンを分泌する方法は、甘いものを食べること。疲れたりストレスを感じると、甘いものが食べたくなるのはそのためだ。ただし、甘いものによるセロトニンの効果は長くは続かない。甘いものを食べると血糖値が上昇し、今度はそれを下げるためにインスリンの分泌量が増える。すると下がりすぎた血糖値を上げるためにアドレナリンが分泌され、イライラが募る。そしてまた甘いものが食べたくなる……という悪循環が起きるのだ。また、セロトニンの他にも、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールや、満腹中枢に働くレプチンなど、ダイエットに関係するホルモンはいくつかあり、いずれもストレスや不安感と関係する。

「やせたいのに食べてしまうのは、意志が弱いからではなく脳の問題。脳内物質を調整する行動をとることで、“やせ脳”に生まれ変わることができます」(工藤医師)

 甘いものがやめられない人なら、甘いもの以外でセロトニンを増やす方法をとる。日光を浴びる、軽いジョギングや散歩、ガムを噛むなどの反復・リズム運動によっても、セロトニンは増えるという。下記の脳に効く食べ物と習慣のなかから、自分に合ったものを試してみるといいだろう。

「どの方法が合っているのかは、体質や太った原因、性格によっても異なります。糖質で太る人もいれば、脂質で太る人もいる。自分にとって効果的なダイエット法を知るために、体重や日々の食生活を記録してみてください」(同)

 糖質同様、脂質にも強い中毒性があることが指摘されている。琉球大学医学部の益崎裕章教授(56)はこう話す。

「ハンバーガー、フライドチキン、ステーキ、バターや生クリームなど、人間の脳は動物性脂肪たっぷりの食べ物が大好きです。それは、脳という臓器が脂の塊だから。研究時にネズミの脳を解剖すると、手袋がヌルヌルするほど脂まみれになります。脂の塊である脳が潜在的に脂を求めるのです」

 さらに高脂肪食を食べると、脳は体に対して「もう栄養は足りているから、体を動かさなくていいよ」という指令を出してしまうという。野生動物が飢餓と闘ってきた歴史から、現代人にとっては矛盾するプログラミングが脳に残っていると益崎教授は解説する。

「ネズミに動物性脂肪を与えると運動量がパタッと落ちます。そして皮肉なことに、人間はじっとしているときほど、実際には起きていない空腹感や疲労を感じてしまうのです」

“脂質中毒”に陥ってしまったら、意志の力だけで抜け出すことは難しい。しかし益崎教授らの研究グループは、玄米の米ぬかに含まれている「γ‐オリザノール」という成分が脳に作用し、脂肪に対する中毒症状を抑えることを発見した。玄米は白米に比べビタミンB1や食物繊維も豊富だ。ドーパミン信号を受け取る受容体を増やす効果もあるため、脳が満腹や幸せを感じやすくなる効果もあるという。

「玄米のγ‐オリザノールが脳内にとどまるのは食後8時間。その後は体外に排出されてしまうので、脂っこい食事がやめられない人は、たとえば茶碗1杯分の玄米を朝夕食べ続けるといいでしょう」(益崎教授)

 次は「食べ方」について。ここにも、脳の暴走を止める鍵がある。テレビを見ながらなんとなくスナック菓子を口にする、携帯をいじりながら数分でランチを掻き込む……。前出の久賀谷医師は、こうした食べ方は脳の欲望のままに動く「自動操縦モード」の状態にあると指摘。

「食欲は『抑えつける』のではなく、『うまく乗りこなす』ことが大切です。まずは漫然と食べることをやめましょう。目の前にある食べ物や自分の体の状態に意識を向けることで、この自動操縦モードから抜け出すことができます」

「今、ここ」に注意を向けるこの方法は、「マインドフルネス」という思考法に基づいている。集中力やストレス耐性の向上などでも注目されているメソッドだ。

 久賀谷医師がすすめるのは「食前セレモニー」だ。食事に手を付ける前に、(1)呼吸を整える(2)料理の素材や調理法、盛り付けなどに注意を向ける(3)今、どのくらいおなかが空いていて、どのくらい食べたいのか考える。30秒間かけて、この3ステップを踏む。

 こうして「間」を取ることで、自動操縦モードを止め、いつもの食べグセから脱却することができるという。じっと注意を向けるのが難しい人は、メモをとってもいいし、呼吸法を見直してもいい。

 ポイントは「食事や体に対する注意を向けること」にある。コンビニで買った惣菜を皿にうつして盛り付ける、自分で料理を作る、野菜を育てるなど、食に対するかかわりを増やすこと自体も効果的だという。

 また、自分に優しくしたり、他人に感謝することも効果があるという。

「ダイエットとは無関係に思われるかもしれませんが、自分をいたわり優しくし、人に感謝の心を持つと脳にある後帯状皮質の活動が低下し、脳の暴走を抑えることがわかっています」(久賀谷医師)

 逆に言えば、ダイエットがうまくいかないからと言って自分を責めたり、嫌いな運動を無理やり続けることは、まったくの逆効果ということだ。

「焦らず続けていけば脳の中で必ず変化が起きます。一度“太らない脳”を獲得できれば、それは一生モノです」

(フードジャーナリスト・浅野陽子、編集部・中島晶子、藤井直樹)

●脳に効く食べ物&習慣

毎日玄米を食べる

玄米に含まれるγ‐オリザノールが動物性脂肪に対する欲求を緩和する

和食ならたくあんをプラス

歯ごたえのあるたくあんでセロトニンを分泌させる

1日1杯、出汁を飲む

出汁に使われるかつお節はセロトニンの材料となるトリプトファンを含む。脂肪に対する欲求を修正、味覚をリセット

昆布茶を毎日飲む

旨味成分グルタミン酸が脳内でドーパミンに近い働きをし、濃い味付けを好む味覚をリセット

緑茶とコーヒーを混ぜて食前に飲む

緑茶のテアニンが過食予防、コーヒーのクロロゲン酸が血糖値アップを抑制

食事の20分前にレモン水を飲む

満腹中枢が刺激され少量でも脳が満足。炭酸水でも

朝食にバナナヨーグルト

バナナはドーパミンを増やすビタミンB群が豊富。ヨーグルトはセロトニンを増やす効果あり

たらこや牛肉を食べる

たらこや牛肉に含まれる亜鉛がドーパミンやセロトニンを合成、細胞の生まれ変わりを助け味覚もリセット

疲れたときは鶏むね肉

鶏むね肉に含まれるイミダペプチドが疲労を回復。疲れたときに甘いものが食べたくなる欲求を抑える

甘いもの欲求には冷凍ブルーベリー

しっかり甘さがあるのに低糖質なブルーベリーが、セロトニンを分泌させ脳を癒やす

温かい飲み物で休憩する

集中して働いた後に何か食べたくなる人は、まず温かい飲み物を。脳をリラックスさせて高ぶった神経を癒やす

お酒を飲む日は昼食におかかや鶏そぼろおにぎり

おかかや鶏肉に含まれるトリプトファンがセロトニンの材料になり、ストレスによる飲みすぎを防ぐ

お酒を飲む前日はキムチと発芽玄米

キムチや発芽玄米に含まれるGABAがストレスによる飲みすぎを防ぐ

朝食後、ガムを噛む

一定のリズムで20分以上噛むとセロトニンが多く分泌される

※AERA 2020年7月20日号より抜粋

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July 16, 2020 at 09:30AM
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