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Friday, December 1, 2023

和歌山:<中>あらゆる場 付き添う :地域ニュース : 読売新聞 - 読売新聞オンライン

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 夏祭りでヒ素が混入されたカレーを食べ、4人が死亡、63人が重軽症となった和歌山市の毒物カレー事件から25年が過ぎた。この時に遺族や被害者の公判傍聴を支援するなど、被害者に寄り添ってきた渡辺友子さん(75)は、和歌山の被害者支援のパイオニアと言える存在だ。

 被害者を中長期的な視点でサポートする公益社団法人・紀の国被害者支援センター(和歌山市)が設立されたのは1997年。その翌年に毒物カレー事件が発生した。

 渡辺さんは自殺を防ぐための電話相談「いのちの電話」の相談員をしていた経験を買われ、センターの1期生の支援員に認定された。

 毒物カレー事件では、公判の傍聴券を確保するのに奔走し、足を運んだ被害者の緊張をほぐそうと声をかけて回ったこともあった。

 長年の活動では、被害者への「付き添い」支援に注力してきた。「一緒にいるだけで助けになっている実感があるんです」と渡辺さんは言う。

 病院で司法解剖の生々しい説明を受ける時、捜査機関で忘れたい記憶を聞かれる時、裁判に出向く時……。必要があれば、ありとあらゆる場所に付き添うようにしてきた。

 性犯罪の被害者は、他人の視線を感じるだけでも不安になることがあるため、出先でトイレに行く際に同行するといった配慮も時に必要になるという。

 「何が被害者を傷つけてしまうか、わからない。誤解されることもある『言葉』ではなく、『行動』で信頼してもらえたら」。飲み物や甘い食べ物が入った「支援バッグ」を持ち歩き、被害者が疲れているように見えたら、差し出す。

 事件から時間がたってからの支援が大切だと感じている。記憶がよみがえる「フラッシュバック」もある。不安定になっていないか定期的に連絡を取りつつ、本人の自立を妨げない距離感を保つよう意識している。

 現在は支援員、相談員に助言する「犯罪被害相談アドバイザー」として、自分が担当する被害者を支えるだけでなく、同じ支援員、相談員が悩みを抱え込まないようにする役割も担っている。

 「自分たちと被害者はあくまでも他人。身内でないからこそ心を開いてもらえることもある。正解はない。少しでも回復につながる支援の形を考えていきたい」

 紀の国被害者支援センターは2011年、被害に遭った直後からサポートする早期援助団体の指定を県公安委員会から受けた。その後、県警からの情報提供が増え、20年度には765件の支援を行った。

 支援の内容は多岐にわたっている。昨年度に対応した579件の分析では、交通事故が最多の18%を占めた。性犯罪が17%、殺人・強盗が14%、配偶者や恋人からの暴力(DV)が14%などとなった。

 性犯罪の相談に特化した県の性暴力救援センター和歌山「わかやまmine(マイン)」(和歌山市)への相談件数も13年7月の設立から増加傾向が続く。両センターは相談者の情報を共有し、適切な支援につなげようとしている。

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